SONG-26【個性の塊か病気か】ザキ

SONG-26main-visual-zakki 派手な花火の背景画像が、派手好きな男を象徴している。前面でキザにポーズを決め「センパイ、主役は俺ですよ」と言うセリフを吐いている ザキと言う男の画像。 タイトル 「SONG-26 ザキ」 メッセージ 「キザな自信家 超目立ちたがり屋 現る」
個性的なヤツは、どこにもいる

観察してみよう

個性的なヤツは、どこの世界にも居るもので。鼻につく、押しが強い、うるさい、あるいは無口。とっつきづらい。

などの欠点はあるものの、なぜか魅力的だったりする。

波風立てず平均的な友人とばかり付き合うのもいいが、どうせ一度の人生だ。個性的なヤツと仲間になって、

新しい視点を得たり「人と違う行動をとる理由」などを分析すると、価値観、世界観が広がる。

narcissist

目立ちたがりなだけじゃない、個性的と映る表現の中に、自分に活かせるヒントがないか?

考えてみるのも、毎日が豊かになるコツだ。

そんなヤツとは関わりたくない、と思うならそれでもいい。

ただ、極端に「個性を排除」する側には回らないで欲しい。

個性を否定し、潰し合う社会は息苦しいのだ。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィール を見てね

目次

SONG-26 ザキ

「センパァーイ・・・」

「うるせぇな ザキ」

シノザキって いちいち言うのもめんどくさい。「こんちくしょう」と思って、思いっきり縮めてやった。ザキの反対は「キザ」だし。こいつにゃ合ってる。

「お前、今日からザキな」

「ハイ。わかりました」

妙に素直な所のある奴ではあったけど。

Baby bird following the parent bird

「センパイ、センパイ」ってアヒルみたいに まとわりつかれちゃ、ウルさくってしょうがない。嫌いだったし。

jump into water

「ピーッ」

“三管”という救助用の笛を吹いて、ザキが飛び込んだ。溺れている人がいると、その笛をふく。そうすると 待機中の監視員も飛び出して行って、全員で救助にあたる。

「アイツ、また飛び込んだよ」

瀬戸さんが笑った。

泳いでいるつもりの人。泳いでるんだけど、ヘタだから・・・溺れているように見える人もいるでしょ? そこらへんの判断は難しい所でもあるけど。

ザキの場合、疑わしきは全部救助。見せ場だから。

必要以上に派手な救助法をやったりして。

相手をあお向けにさせて、アゴを持って 泳ぐ 泳ぐ。

「おーい、ザキ。そこ足つくぞ。プールだから」

泳がなくていい。プールの中で 立って救助すればそれでOKな話。

he loves saving lives

溺れてる人、可愛そうに。溺れちゃいないんだから、目を白黒させて。

「ヤバイ。なんかヤバイ方向に行っちゃってるよ。このまま溺れたフリしてないと いけないのかな?」

なんて神妙になっちゃって。

それでもザキの派手なパフォーマンスは続く。

プールサイドに寝かせて。大勢の人が集まって注目される中で、水を吐かせるために腹を押しちゃったりすると、恥ずかしさに耐え切れなくなった溺者が、

 「あ、あの。ボクもう大丈夫ですから」

そそくさと逃げていく。

かくして ここは「恐怖のプール」となった。

ザキ本人は さっぱりした、すがすがしい顔しちゃって。

大仕事を終えた職人みたいに、さっそうと肩で風を切って監視控室に戻っていく。日誌を取り出して、

「本日も2名救助しました。シノザキ」

サインしちゃう。

I'm the best

まぁ、でもね。だんだんコイツの事がわかってきた。

ザキっていうのは、ズルい奴なんだ。ズルい奴なんだけど、憎めないというか・・・

つまり。

とことんずる賢く、うまく立ち廻ればいいんだけど、どっかヌケてる。ズルさが途中でギャグになるタイプ。カラッとしたズルというか・・・やれやれ。

夏が終わり、監視員たちの社員旅行があった。

伊豆の別荘で2泊したのかな?

その時、ボクとザキだけ皆より遅れて、後から合流することになったんだ。2人で電車で行くってことで。

北千住で待ち合わせしたんだけど、いつまでたってもザキが来ない。どうしたのかと思って、電話した。お母さんが出て。

「まー、まー、いつもうちの友ちゃんが お世話になってます」

トモヨシ って言うんだ、アイツ。

「もうねぇ、甘やかされて育ってるんで、なかなか起きないんですよォ。でも、さっき やっと起きて出掛けましたから。申し訳ありませんねぇ。待っていて頂けますか?」

「ハァ」

しばらくして、ザキが来た。

「ハア、ハア・・・センパァイ、いや ちょっとそこで・・・通行止めがあったもので。足止めくっちゃって、まいったな。遅れました」

「フーン、オレは寝坊でもしたのかと思ったぜ」

「まさか そんな。今日は先輩待たしちゃ悪いと思って、早く出て来たんすから。アクシデントですよ、アクシデント」

「・・・・・・・・」

ボク、後ろからはたいてやろうかと思った。

電車でビールを飲みながら、長い列車の旅をした。とりとめもない話をして。

「コイツと何時間も一緒に居て、会話がもつのかな?」

と思っていると、

「いやぁ。ボク、バンドもやっているんですよ」

ガタン、と電車がゆれた───

ふてくされて眠ろうかと思っていたボクに、まさに寝耳に水をかけられたような話をしだした。

「なに!? お前、バンドやっているのかよ?」

ボクは 思わず飛び起きて、ザキの両腕をつかんだ。

railroad
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次