SONG-45 【思っていたのとは、違う形で夢がかなうこともある】音楽スタジオ作り

building a music studio ハードロック・ギタリストのワイルドな演奏イラスト。 タイトル 「SONG-45 音楽スタジオ作り」 イラストのギタリストのプロフィールが面白おかしく書いてあるテキスト。
差し出されるものは、違っても 目的地が同じなら、迷わず行けよ。

行き着く先は同じでも、自分の計画通りに進むとは限らない。

ボクは、過去も何度もそういう経験をしたが、

つまり大阪まで行くのに「新幹線」で行くか「飛行機で行くか」「歩いて行くか」のような違いで、神様から差し出される「乗り物」は その時々で 違うよ、ってこと。

自分は「飛行機で行きたくても」「新幹線のチケットが差し出される」こともある。

なのに、夢が叶わない人は「せっかくもらった新幹線のチケットを捨てて、飛行機を待っていたり」する。頑ななんだよ、自分中心はいいけど、神様の意向より自分を優先することなんて出来ない。それでは叶う夢も叶わないんだ。

Let's go on a trip by Shinkansen

覚えておいて。チャンスは一瞬。神様が差し出すものは、意味があるもの。目的地が同じなら、迷わず行けよ。躊躇せず。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィール を見てね

Personal-music-studio
目次

SONG-45 音楽スタジオ作り

ひらめきは いつも突然にやって来る。

池袋のスタジオで練習してた時。

「アッ、いいこと考えた」

ボクは思わず、声を上げた。

練習が終わった後に、皆を喫茶店に集めて。

meeting at a cafe

「原宿に、パフォーマンスの盛んな歩行天があるだろ?」

と話し始めた。

「あの、日曜日にやってる奴ですよね」

「うん。あの通り、今までは竹の子やローラー族、そして 一世風靡や秘密結社G みたいなパフォーマンスの連中が中心に活動してたじゃないか?」

「そうですねぇ。でも あそこ、今じゃパフォーマンスも下火になって、サックスの練習ぐらいしかやってないですよ」

「だろ? そこがつけ目なんだよ。誰もやってないからいいの」

「?」

ボクはみんなに言葉が染み渡るのを待った。

演説している青年の画像

その横にテキストメッセージで
「そこがつけ目なんだよ。誰もやっていないことをやるんだ」

と書いてある。

「あの歩行者天国にさ、アンプとかスピーカーとかを持ち出して、ライブハウスにしちゃうっていうのは どう?」

「でも機材は? 毎回レンタルするの?」

その質問を待ってたぜ! ボクはニヤリと笑い、

「さあ、そこでだ。まず、音楽スタジオを作る」

「音楽スタジオ?」

「ライブハウスじゃなくて?」

少し不満げな女の子たちに、

まぁ待て。最後まで聞けよ、と落ち着かせた。

「まず、音楽スタジオを作る。そして平日みっちり練習して、日曜日になったら その機材を車に積んで、出掛けるんだ。原宿まで」

困惑しているメンバーの表情を楽しみながら、ボクは話す。

persuade the audience

「いいか 前にも言ったけど、有名になるには より多くの人前でやるべきた。しかも、いかに自分の知り合いとか友達じゃない、赤の他人の前でやるかだ。年間100ステージ。オレはそれをこのバンドの目標にしていきたい」

「年間100ステージ・・・ですか?」

「そうさ。結局は自分の時間のうちのどれだけを費やすかってことで価値が決まるんだ。どんなに立派な夢を持っていたって、アルバイトに一日のほとんどを使えばアルバイターだし、練習したり ステージをこなして毎日を送っていれば、たとえレコードを出していなくても ミュージシャンだと言える」

part-time-worker-musician

「プロみたいに活動するんですね」

「プロだって、年間100ステージもこなしている奴はそうそういないぜ。オレたちは、プロとかアマチュアとか そういう枠を超えるんだ。短期間で経験をいっぱい積んで、”メジャーもマイナーも関係ない。いいものはいい”ってことを証明してやろうぜ」

「そうかあ。ライブハウスにこもってるだけじゃ、100ステージも踏めないもんね。そのためのストリートなのかあ!」

「毎週ストリートに出れば、ライブハウスを持ったのと同じぐらい ステージ経験積めますね!」

「なるほどー!ライブハウスを作るんじゃなくて・・ 原宿の、歩行者天国をライブハウスにするんですね!!」

「その通り!」

Street-Rock-Performance

わあっ、と劇団出身者たちは「体育会系の魂に火がついて」喜びを爆発させた。

「カズさん、天才ですー!」

レイ・ギャングが手を叩きながら尊敬の眼差しを向けた。

「あたし”表”を作りますよ。100ステージ分の星を書いて、1つこなすごとに塗りつぶすの」

ヤスコ・クイーンが元気に手を挙げて叫んだ。

「ひゃー、それいいね! やろう やろう」

「爆撃機みたいに 敵を撃墜したら星ひとつ、みたいな? アハハ」

マコト・クレイジーもノってきて。

氷が溶けるみたいに前向きな反応が出始めた。

Bomber

爆撃機の機体に、撃墜の印。星が複数描いてある。

しかし大勢の反応とは反対に、ヒカルとトミノスケは相変わらず 渋い表情で、

「路上演奏なんて・・・カッコ悪いよ。昔の”河原乞食”みたいじゃん」

って、批判的なのね。芝居出身者が盛り上がってバンドマンが水を差すって構図が出来はじめていた。

street performance

「でも、いいんじゃない? 俺この間、ライブハウスでギターに”花火”つけて、噴射しながら演奏したら 怒られたから、路上で思いっきり試してみたいな」

マコトが助け舟を出してくれて。

というか、マコトは本当にクレイジーなヤツだった。ギターのヘッドの先っぽにドラゴン花火を取り付け、ライブハウスのステージ上で導火線にタバコの火をつけ。プシューっと派手な花火大会をやったから、大騒ぎになった。

客席は大盛り上がり。でも店のスタッフが血相変えて飛んできて火を消され、後でバンドは大目玉を喰らった。一歩間違えれば、ライブハウスが火事になって大惨事だ。

若さとは、しばしば。こういう無謀なことをしたりする。変なことにならなくて良かった、本当に。当の本人は どこ吹く風で、キョトンとしてたけど・・

ライブハウスがダメなら、ストリートで思いっきり「花火パフォーマンス」をやろうって魂胆だ。懲りない男、と思ったが おかげで 原宿歩行者天国でのストリートライブをやれることになった。

マコトの意見には、ヒカルとトミノスケも、しぶしぶ同意したからね。良かった。

こうしてーー

1986年の春、高円寺にボクたちのスタジオが完成したんだ。

Rock'’N RoLL GENIUS STUDIO(Real)at Koenji

みんなが貯めたのは250万以上の大金だった。でも、保証金と防音工事とか いろいろ。スタジオとして使える改造をしたら、それだけで貯金は全部なくなっちゃったんだ。

楽器が買えない。しょうがない。ボクがローンを組んだ。

ボクはその時、広告会社にいて。そこの社長から すごく信頼があったの。

ミュージシャンなんて、社会的信用ないだろ?

普通にやってたら、「そういう」目でみられる。

だから音楽やってる奴って、すごく頑張って働く奴多いんだ。髪の毛とか長いから。一生懸命やらないと、すぐ差別される。

ボクも熱心に働いた。そしたら信用されて、

「よし。楽器のローンを組むなら保証人になってあげる」

って言ってくれて。

よかった。ドラムセット、ローズピアノ、ギターアンプ、マイク、シールド、ワイヤレスシステム・・・ 中古で買っても大金だ。ボク1人じゃとても200万円近い機材は揃えられない。やっと芝居の時の借金の返済のメドがついた頃だよ。

PA-equipment

「さらに借金かあ」って思ったら、ドキドキした。

でも、みんなでまた積立を続けて、そこから「バンドとして返済」することになったから。今度はボクだけが借金に苦しまなくても済みそうだった。

芝居の連中は今まで通り毎月5万。他の奴は2万とか5千円だったり・・・・

まったく不公平な話だけど、そういうアンバランスな力関係でバンドは保っていたからね。

高円寺の駅前のビルの4階。

電車から「囲碁」っていう文字が給水タンクに書かれているのが見える。そこにボクたちのスタジオがあったんだ。

koenji-studio

「ロックンロール・ジーニアス スタジオ」外観と内観画像。

スタジオの前に、屋上に続く扉があって、そこを開くと 高円寺から新宿方面が見渡せた。

すぐそばに「中野サンプラザ」のビルがあって。

Nakano-Sunplaza 写真、遠景。

「見てろ。そのうちサンプラザのステージに立ってやる」

ってドラマチックにサンプラのビルを指さした。

その時にはそれが そんなに早く実現する夢だとは思わずにね。

ま、この話は後でするけど。

「さあて。来週から歩行者天国。ストリートに出て暴れてやるぜ」って。

その時は、そっちのことで頭がいっぱいだったんだ。

R-Genius-Studio-building
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