夢に向かうときには、心の支えとなる「象徴的な”目標達成アイテム”」を持つことが重要だ。いつも気にしたり身に付けていて、いざとなったら取り出して眺める。
この「目標達成アイテム」
大谷翔平 選手 の「曼荼羅チャート」が有名だが、人によって アイテムは違う。
曼荼羅チャート
花巻東リポート第2回
News Picks|大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」
大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」by スポーツライター:中島 大輔 氏
上記の表は 曼荼羅(マンダラ)チャートという。
曼荼羅
仏教(特に密教)で、仏の悟りの境地である宇宙の真理を表す方法として、仏・菩薩 (ぼさつ) などを体系的に配列して図示したものを曼荼羅と言い、そのシステムを使って「目標達成」を目指す表を 曼荼羅チャートと呼ぶ。
曼荼羅チャート は9×9のマスで構成されており、「これを叶えたい!」という強い目標を中央(黄色部分)に書き、周囲のマスに細分化した目標を書いていく。
当時、大谷選手が中央に書いたのは「8球団からのドラフト1位指名」だった。
で、その「夢」を達成するために 夢の周りに 8 つの重要要素を キーワードとして書いていく。
それが、体づくり、人間性、メンタル、コントロール、キレ、スピード160キロ、変化球、運 の8つだ。
さらに、8つの項目を満たすのに必要な要素を8つずつ記入する。
たとえば、コントロールを満たすためには「体幹強化」などトレーニング面のものもあれば、「不安をなくす」などメンタル面のこともある。このように、それぞれの課題に対して 8つづつ対策を立てて 日々意識して実行していくのだ。
「大谷翔平だから 目標を”8球団からのドラフト1位指名”と書いても違和感ない」と今は思うだろう。
が、それは今の実績、メジャーでの活躍を知っているからだ。当時、花巻東高校1年生だった 少年の夢としたら大きい。周りのほとんどの人は鼻で笑うレベルの現実味のなさだ。
しかし、夢とはそういうもの。周りから笑われても「自分と夢の距離を分析して、いける!」と思ったらやれるのだ。
コツは、大きな岩を砕いて小さな石にすること
その際、大きな夢も 小さく砕いて 1つ1つ達成できる小さな ミッションに細分化する。大きな夢も小さな「夢のかけら」の集合体だから。これをやっているのが 曼荼羅チャート なのだ。
100メートル全力で走るには、110メートル全力疾走!
また「棒ほど望んで針ほどかなう」と言われるように、達成したいミッションより少し大きめのミッションをこなすクセをつける。例えば、腹筋を毎日 30回x3回/1日 やると決めたら、31回x3回/1日 と、ちょっと多めにこなすと全力が出せる。本気でやっているつもりでも 28回ぐらいやると最後まで完璧にやらずに気が抜けて「数だけこなす」
手抜きになりがちなのが人間だからだ。
また、ミッションには必ず 期日や数字を決める ことも重要。いつまでに何を達成する。朝は5時に起きる。スクワットを10回やる。など。
具体性のないものは達成されない。
こういう曼荼羅チャートを作って、日々 ミッションをこなした結果、大谷翔平 選手 は 夢を達成し、スーパースターになった。
しかしそれは、彼の才能や努力だけで達成されたものではない。
この 大谷翔平 選手が花巻東高校1年時に立てた曼荼羅チャート(目標達成表)
それを作らせたのは、花巻東高校野球部 佐々木洋監督 である。
人生は 本や出来事や映画や人との良い出会いが大切なのである。そういう出会いが「幸運」を持ってくるから。
このように、夢に向かうときには、心の支えとなる「象徴的な”目標達成アイテム”」が必要ということを理解していただけたと思う。
今回 紹介した 曼荼羅チャート は非常に良いアイデアだ。参考にすれば、あなたも大谷翔平 選手になれる(かも)
自分にとっての「心の拠り所」を持とう
曼荼羅チャートは、良い「目標達成アイテム」だけれど。
人それぞれ「心の拠り所」にするアイテムは違う。
違っていいけど、何かしらのアイテムは必要だ。
地図がなければ さまよう
「目標達成アイテム」とは。
つまり、目標に向かって着実に進んでいる「指針」のようなもの。目的地に向かう「地図」のような役割が必要なのだ。
見失いそうな時、その地図を眺めて現在位置を知り、夢までの距離を測る。
日々の暮らしの中で、流行や人の甘言などに操られ、あらぬ方向に流されそうになっても、自分なりの地図があれば、正しく船を修正して夢の軌道に戻すことができる。
この、象徴的な”目標達成アイテム。
ボクらの場合には、100に区切られた「星」だった。
具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。
ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜
ボクについては プロフィール を見てね
SONG-48 目標 年間100ステージ
高円寺 北口 駅裏のビルの四階。最上階に、ボクたちのバンドのスタジオがあった。
扉を開けると、「レコーディング・ルーム」になっていて、4畳半ぐらいのスペースに コンソール、録音テープ、ラック積みのエフェクターなどの機材が詰まっている。
大きなガラス窓の向こうは 広めの「練習スタジオ」になっていて、完全防音された部屋の中に、ローズピアノ、ドラムセット、ギターアンプなどが置かれている。
練習スタジオと録音ルームは 分厚い防音扉をガチャンと開けて入る。
スタジオに入ってすぐ。
真空管アンプのマーシャルがデーンと鎮座している。
マコト・クレイジーのアンプで、例によって オーバーパワーの爆音装置だ。最初は3段積みにしていたが、あまりにもうるさいので2段積みに減らした。
速弾きヒカルのアンプは、フェンダーのツイン・リバーブ。マーシャルより随分小さいが、充分なパワーと、真空管アンプではないのに温かみのある音が出る。
レイ・ギャングは、この時点では「肩がけ用のシンセサイザー」でシンセベースを弾いていたが、ゆくゆくは本物のベースに移行しようという構想で。アンペグの本格的ベース・アンプを揃えていた。
ヤスコ・クイーンは「ローズ・ピアノ」という ちょっと歪んだオルガンのような鍵盤を弾いている。
ドラムセットは、パールのバスドラが22インチのモデル。パイステやジルジャンのシンバル系もついたモデルだ。
ツッパリ・クミコの ティンバレスは、当時シーラ E が流行っていたから影響されて揃えたもの。
機材もスタジオも申し分なく、いつでも練習できる環境だったからバンドとしては恵まれた状態だったといえる。
このスタジオで、最初は 週5のペースでバンドで集まって練習していたが「効率が悪い」という理由で、バンド練習は 週3回。1度の練習時間は 3~4 時間となった。
練習がない日も、誰かしら個人練習やパート練習で使っていたから、バンドの技術は日に日に上がっていった。レコーディングも出来るから、現在の自分たちの技術レベルもシビアに把握できた。お金を作るのは大変(特に女子チーム)だったが、ここを作って本当に良かった。ここから伝説が生まれる。
その日、スタジオの扉を開けると レコーディング室に マコト・クレイジーがいた。ヤツは意味ありげにニヤリと笑い、ガラス窓の中を指さした。窓の向こうは広い練習スタジオ。
中を見ると、ヤスコ・クイーンが分厚い模造紙のような大きな紙とハサミを持って格闘していた。
「いやさ、ギターの個人練に来たら、スタジオの中を占領されてて・・ 一生懸命やってるから邪魔しづらくてさ」
マコト・クレイジーは苦笑いして言った。
「アイツ・・ 何やってんだろ? とにかく入ろうぜ」
マコト・クレイジーを促して、ボクは分厚い扉を開けた。
「あ、カズさん・・マコトも」
振り返ったヤスコ・クイーンは 肩が凝って疲れたことをアピールするように、拳で片方の肩を叩いた。そして満足そうに、
「よし! できたっと」
と、模造紙から切り抜いたものを遠ざけて俯瞰して眺めた。
「おい、それ 何のつもりだよ」
ボクが聞くと、
「何って、例の・・100ステージ分の星ですよ。あー、疲れたー」
ヤスコ・クイーンは 作ったばかりの大きな星の形を見せた。
「ダハハ・・ ダメだこりゃ」
と、マコト・クレイジーは笑ったが、ボクは軽い怒りが込み上げてきて、
「でっかい星の中を、なんで100個に区切ってんだよ」
と、少し語気を荒げた。
「ダカラァ、年間100ステージ達成に向けて、ステージが終わるごとに星の中を塗りつぶして行くんでしょ!」
ヤスコ・クイーンの説明に マコト・クレイジーも大笑いしながら、
「ちげーよ。あははは・・ オレが言ったのは、爆撃機の機体に書かれた星みたいにさ、1機撃墜するたびに 星一つ描いていくんだよ。でかい星を100個に区切ってどうすんだ。あははは・・」
「えー、なんでー。せっかく 苦労して作ったのに」
抗議する ヤスコ・クイーンに、
「おまえ。その性格 変態だな」
と 呟くと マコト・クレイジーも、
「たしかに。ダハハハ・・・」
と、笑い続けた。
「どうしたら そういう発想になるんだろか? 爆撃機の機体に書かれた星なら カッコいいと思ったけど、大きな星を 100マスに区切るなんて」
ボクは頭を抱えた。ヤスコ・クイーン は例によって、フグみたいにふくれた。
「その発想力はすごいわ。ある意味 天才」
と マコト・クレイジー は言いながら、スタジオの壁の一番目立つところに その星を貼った。
「その 余った紙 ちょうだい」
マコト・クレイジー は サラサラと 文字を書いて、星の上に ペタッと貼った。
「こうすれば、ちょっとはマシかな」
マコト・クレイジーは ふくれたヤスコ・クイーンに「どうよ」という目を向けた。
「おお! 途端に良くなったじゃねーか!」
ボクが手を叩くと、ヤスコ・クイーンも
「あ、これ カッコいいー」
と感激し、途端に機嫌が治った。マコト・クレイジーも満足げに「うんうん」と頷いた。
ボクと ヤスコ・クイーンと マコト・クレイジー。
三人で 腕を組み、遠くから眺めた。
次の日。
バンドの練習日だったから、みんなで集まって。遠くから それを見たんだ。
自分たち専用のスタジオ。
壁に貼り付けられた 大きな星。100ステージ分に区切られている。
その星の上には 目標 ! 年間100ステージ と大きく書かれていた。マコト・クレイジーが追加した メッセージだ。これで星も輝く。
みんな無言で それを見ていた。無言だったけど。
体の奥の方から、じーん と 込み上げるものがあった。
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