SONG-54【いじめは、そこにいる全員が共犯】時間泥棒

SONG-54main-visual-time-thief タイトル 「SONG-54 時間泥棒」 忍者が何かを持ち去ろうと獲物を探している画像と、派手なバンド ロックンロール・ジーニアスのギタリスト トモコ・チビ太が明るく元気にギターを弾くステージパフォーマンスの画像。
いじめの構造

今回の物語は、図らずも「いじめ」がテーマとなってしまった。

メンバーの名誉のために、最初に断っておくが「基本的に ボクのバンドメンバー1人ひとりは真面目だし優しいし、下品ないじめなんてするヤツはいない」

ただ、ボタンのかけ違いで その場が「いじめ」の現場になってしまうことがあるね。

その雰囲気を作っているのが、そこにいる全ての人々。つまり、そこにいる人たちの心がけ、行動によって「いじめ」は避けられたり、反対に酷いいじめの現場になったりするわけだ。

atmosphere that breeds bullying

いじめには2種類 ある。

1)「悪魔」がいじめをする

この世の中には 本当に クソ根性の悪いやつ がいて、人が苦しむのを無常の喜びに感じるクズもいる。ごくごく少数だけど、そういう地獄の亡者みたいなやつもいるよ。

そんなヤツに出会って「いじめ」に遭ったら そりゃ不幸だし運が悪い。そんな悪魔が集まる場所には行かないように気をつけるのが基本だし、もし そういうクズに出会ったら、速攻 逃げよう。

会社でも学校でも、そんなヤツがいる場所を「地獄」という。

地獄は日常の中にもあるんだよ。

悪魔が集まるシステム、空気、コミュニティ。人徳のレベルが低い人間が集まっている場所。そんなところに入ったと気づいたら、躊躇せずにスタコラ逃げるんだ。

RUN AWAY

「せっかく入った会社だから」「引っ越すのは大変だから」「誰かに迷惑をかけるから。恥をかかせるから」

そんな理由で 地獄に居続けたら悲惨な末路が待っているぞ。

ニュースで何度、そんな「いじめ」で命を落とす人を見た?

学校も会社も、事実を隠蔽して「無かったこと」にするだろ?

要は、そういう「いじめ」が起こる環境が問題なんだ。そういう場所を「地獄」って言うんだよ。親や友人や知人に気を遣う前に、まず

「自分の安全を第一に考えよう。あなたの安全を二の次にして、地獄に引き留めるヤツは味方じゃない。自分が無くなったら全ておしまいなんだよ」

だから、悪い環境からは迷わず逃げろ!一目散に、ひたすら逃げて 自分らしく生きられる場所へ移動するんだ。

地球は大きいんだよ。広いんだ。自分にとっての地獄にいる必要はない。そんなところで不幸になるのは馬鹿なこと。親や教師や友人に助けを求めても、全然わかってくれなくて解決できない。苦しいままなら、その連中は味方じゃない。そんな時は覚悟を決めて、1人で逃げるしかない。孤独でも、「より良い環境を求めて行動」すれば、必ずいつか良い人にも出会えるよ。

「悪魔」「地獄」からは速攻で逃げろ、ってこと。

HELL

2)もう1つの「いじめ」は 悪魔じゃないけど 普通の人が起こす。

最初は冗談だったり、ちょっと注意するところから始まって だんだん片方に味方が増え、孤立した「誰かを吊し上げて苦しめ」たりする。

理由は様々で、いじめる側に問題がある場合と、いじめられる側に問題があって、それを修正するために詰め寄っているうちに「いじめ」のような構造が出来上がる場合。

そもそも「いじめ」とはなにか?
この認識をみんなが共有する必要がある。

いじめって、いじめてるヤツと、いじめられてるヤツ。で成り立ってると思うでしょ?

違うよ。いじめは、空気だ! その場に居合わせた全員が共犯になってる。

read the atmosphere

その場にいる全員が、空気を作り「いじめの状況を作り上げている」

もし、いじめてるヤツに「やめろよ」って言ったらどうなる? 

やめろ! っていうヤツが多かったら、それ以上いじめなんか続かない。どんなに屈強なヤツだって、みんなが「やめろ」って言ったら続けられない。

でも、1人が「やめろ」って言って、他が言わないから、そいつもいじめられる。

みんな、そうなりたくないから黙ってるだけ。勇気がないから? 今度は自分がいじめられるかもしれないから?

勇気なんて、なくてもいいよ。

その場で言わなくても、自分に被害が及ばない方法でも「自分にできること」は あるはずだ。

その場にいたんなら、空気の一部なんだから。何もしなかったら共犯なんだよ。

考えて、何かをやらなきゃ。

「興味ないし」とか無関心を装って、怖いだけだろ? いくじなしの自分に嘘をついても、もう1人の自分は見てる。誤魔化せない。

A girl who smiles maliciously
A girl who smiles maliciously

他人の不幸は蜜の味、なんてほくそ笑んでる「底意地の悪い人」も、次、あなたがターゲットにならない保証はどこにもない。他人を笑ってたら自分に火の粉が降りかかる。うまく立ち回ってるつもりでも、風向きは突然変わるぞ。そんなこともわからないなんて馬鹿なの?

だから「いじめ」の空気を生み出さないために1人1人が 自分なりに考えて行動をとれ、ってことだ。

いじめてるヤツと殴り合え、なんて言わない。暴力も勇気もなくていい。その場にいて、「一緒に悪い空気を作ってる」と気づいたら せめて、自分にできる範囲でいいから小さな行動ぐらいは起こそう。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィールを見てね

目次

SONG-54 時間泥棒

バック・トゥ・ザ・チビ太  

chibita-illust

バンドは どんどんファンが増え、毎日ファンレターが送られてくるようになっていた。

でも・・・

そんな周りの盛り上がりとは対照的に、バンド内部は複雑で。
ぎくしゃくとした人間関係を調整することに、かなりの労力を取られていた。

一言で言って、「芝居出身者」は低く、軽く見られていたんだ。
金銭的にもエネルギー的にも、バンドを支えているのは「芝居出身者」なの。でも「音楽を知らない」と断定され、発言権はあまりにも低かった。

ボクも、ある意味 芝居出身ではあるけれど、ボクには言えないからね。
だからボクに言えないような不満を他のメンバーが受け止めるしかなかった。
特にチビ太が・・・・

street-musician-chibita

Guitarist

「トモコ チビ太」はねぇ、ファンの間でも凄く人気があったんだ。
ステージに立つと、まるで小っちゃい子供。ウン。小学生ぐらいの子供が元気に飛びはねて、ギターなんか弾いちゃって、ってね。

「ジョニー・B・グッド」の世界だよ。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ある山深いド田舎に、「ジョニー・B・グッド」という男の子がいました。 すごくちっちゃいんだけど、ギターを弾くと皆が集まってくる。 ベルの音みたいに チリリリリン、とね。凄いヤツだ。 ちっちゃな指で弾きまくるから、みんなノッちゃって踊りだす。

「GO! GO! GO チビGO! GO!」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

見てる方が保護者みたいな気分になっちゃう。運動会で自分の子供を応援するみたいにさ。

「アラ。うちの子、大丈夫かしら。頑張って!転ばないでね」

そんな顔して見つめてる客が多かった。ジャンプしたり走ったり、転がったり・・・楽しいよ。
バンドに人気が出たのは、アイツの功績、大きい。

A little girl plays rock hard

素顔は、天然の「ボケ」なんだけどね。 そう大ボケ。

電車で移動してる時、吊革につかまってたらさ、車輌 が「ガタン」と揺れて。
チビ太の奴、「ビューン」と飛んでった。あんなに飛ぶことないのに。ホント、後ろのシートまで飛ばされて、ストンと座っちゃったの。知らないおじさんのヒザの上。

ボクは呆れて

「お前、それって“バック トゥ ザ フューチャー”のパロディのつもりかよ」

と言った。

そういう映画のシーンあったじゃない? 巨大スピーカーの爆音で飛ばされる主人公。

「バック・トゥ・ザ・チビ太」だ。

It's-like-a-scene-from-a-Buck-To-The-Future-movie

 
アイツのボケについて、いちいち細かいことは覚えてないけどさ、スサまじかったよ。
それでスタジオの練習がストップしちゃうことも、よくあったし。

「ヤスコ・クイーン」も似たような感じだったからね。あの2人が揃うと強烈。
話が感覚的で、ボクたちにはチンプン カンプン。連中にしか見えない「世界」って奴があるみたいだな。本人たちは大真面目でやっていることでも、ずい分爆笑させられてしまった。

チビ太が 竹の塚から高円寺に引っ越して来た時も・・

アイツ、フトンをさ・・電車で持ってきたんだぜ。担いで。唐草模様の大きな風呂敷に包んで。
女のメンバーが手伝いに行ったらしいんだけど、真っ赤な顔して「大恥かいた!」って言うんだよ。

電車に乗って、フトン袋担いでるやつ見たら 周りの乗客は引くだろ? 当たり前の反応だ。 しかも唐草模様(からくさ もよう)だぜ。

A girl carrying an arabesque-patterned furoshiki


小学生ぐらいの子供に指差されて 

「アッ、ドロボーだ!」

って言われたっていうんだ。 犬にも吠えられたんだって。そりゃ吠えるよ、犬だって。怪しいもん。

「トモちゃーん、ちょっとやめてよ こういうの」

「恥ずかしい。あの人も・・みんな見てるよ。やめてよ こういうの」

って、ヤスコ・クイーンは ずーっと言いながら引越しして来たらしいよ。半分怒りながら、大笑いしてみんなに話してた。

ま、それもアイツの持ち味だから。ボクは楽しんでたんだけど、神経を逆なでされて怒る奴もいた。

マコト・クレイジー から借りたギタースタンドを、チビ太が無理に引っ張って壊しちゃったりしてさ。

break-the-guitar-stand

ギタースタンドを無理やり引っ張って壊した女性ギタリストの画像。

「ここにネジがついてるだろ? ネジをゆるめて引っ張れば、オシャカにならずにすんだんだ。よく見ろよな」

ギターを教えていたのはマコトだったからね。イラつくことも多かったんだと思うけど、マコト・クレイジーにも問題があった。

アイツ、スゴい「こだわり」を持ってるの。ハードロックというものに。
ハードロック以外は音楽にあらず。リッチー ブラックモアや、ジェフ・ベックこそが全ての頂点に立つギタリストだ、みたいにね。

そういう「こだわり」がいい方に作用して、ロックンロール ・ジーニアスが成功した。ルーツとポリシーを持った楽曲が出来たりして、バンドのサウンドカラーを強力に印象づけることが出来たからね。マコト・クレイジー が作る ギター・リフって本当にカッコイイ。

irritated guitarist

でも、「こだわりは諸刃の刃」だ。悪い方向に働くと・・・

こんなことがあった。

マコトの考えでは、チューニングは自分の耳だけを頼りにするべきだ、と。

正論だよ。トモコにも 音叉(おんさ)とかピアノでAの音をひろってチューニングさせていたんだ。

ギターの弾き方を初心者ギタリストに指導するベテランギタリストの画像。


やったことある奴ならわかると思うけど、素人にとってチューニングって、そんな簡単なことじゃないんだな。

Aの音に合わせるって言ったって、

「これとこれは 同じ音? え? ちがうの? 高いの? 低いの?」

耳が慣れてないからね。基本的なことがわからない。

スタジオの中で、「ポーン。ポン、ポーン。ビョォーン」
って延々チューニングが始まる。

マコト・クレイジー「チガウ。高い」

って言われて、「ビョォーン」

マコト・クレイジー「チがうだろ。今度は低すぎるんだよ。もっとちゃんと聞いてみな」

ちゃんと聞いてみなって言ったって、オレだってワカらん。
他の奴も、よくわかんないって顔してたけど、チビ太の要領の悪さがよけいアダになっててさ。
5弦合わせてんのに、4弦のペグをゆるめてたり。

confused guitarist

「チビ太、チューニング メーター使えよ。メーターで合わせて、1人になった時、耳で合わせるトレーニングすればいいんだよ」

今だったら ボク、そう言うよ。簡単なことじゃん。
そんなカタく考えることじゃない。今は皆で練習してる時間だからさ、メーター使えばいいんだ。

「チューニング メーター使えば?」

レイ・ギャンか誰かがそう言って、助けようとした。

「いや、出来ないうちから妥協しちゃ駄目なんだ。時間がかかっても、自分の耳で合わせないと」

マコトが断定的に言った。

An anxious guitarist

これ、マコトも真剣にトモコを育てようとして言ってるわけさ。音楽というものに、ロックというものに真正面から取り組んで 腕を磨いてきたマコト・クレイジーは確かにそうしてきたんだ。だから チビ太にもこだわって欲しい。そこんところのポリシーを根付かせ、本物のロッカーにしたかったんだ。わかるよ、その気持ち。
あいつ、優しいし面倒見いいもん。

だけど若さ、そこから来る「こだわり」も半端なかった。

この時のみんなの気持ちとしては

そんな「こだわり」 クソくらえ! だよ。30分も1時間も、皆の前でチューニングする意味がどこにある?

チビ太、だんだんプレッシャー感じてビビっちゃって、もう全然耳が働かない。音が探せなくなってるんだ。
それでも「ティン・コン」って音を出して・・・

ここで最大の悪人は誰だと思う? ・・・ボクだよ。

Disqualified as leader

あの時のボクに言ってやりたい。「お前、リーダーとしての資格ナシ! 最低だぞ」

ボク、守ってやれなかったの。アイツを。トモコ チビ太を。

青い顔して、ずっとAの音を探しつづけてるアイツを。皆のさらし者にして、ただ見てた。
だって 音楽知識が無いから、マコトの変なこだわりに対抗する意見が言えないんだ。
悔しいよ。ふがいない自分・・・

次の練習から、チビ太は1時間以上前にスタジオに来て、チューニングをするようになった。他のメンバーも手伝ってやっとチューニングが合ったんだ。
皆がスタジオに来るまでに間に合って、「よかった」ってホッとして。

「さあ、練習やろうぜ」

トモコ チビ太がギャーンて弾いたら マコトが、

「チビ太、チューニング違うぞ」
 
「・・・・・」

「・・・・」

「・・・・・」

―――スタジオに緊張が走った。

astonished people

驚く数名の男女の画像

時間泥棒

そこからまた 延々、チューニングがはじまったの。
ボクたちは、ただ それを見つめるだけ。


アレ、いじめだよ。もう指導でもなんでもない。あそこまでいっちゃったら・・・いじめだ。
いじめって、誰のせいだと思う?

いじめって、いじめてるヤツと、いじめられてるヤツ。で成り立ってると思うでしょ?

違うよ。いじめは、空気だ!

その場にいる全員が、空気を作り「いじめの状況を作り上げている」

Bullying is an atmosphere created

私関係ないもーん、って言ってるヤツ。自分の罪から目をそむけ、言い訳してるだけ。その場にいて、見て見ぬふりするなら共犯者だよ。犯罪者なんだ、って意識。持った方がいい。

もしさ、いじめてるヤツに「やめろよ」って言ったらどうなる? やめろ! っていうヤツが多かったら、それ以上いじめなんか続かない。どんなに屈強なヤツだって、みんなが「やめろ」って言ったら続けられない。

でも、1人が「やめろ」って言って、他が言わないから、そいつもいじめられる。

みんな、そうなりたくないから黙ってるだけ。勇気がないから? 今度は自分がいじめられるかもしれないから?

勇気なんて、なくてもいいよ。

その場で言わなくても、後で大人に言えばいいじゃん。信頼できる誰かに言って、間接的にでもいじめをストップさせればいい。

でも、大人に言うと。例えば学校や先生に言うと「隠蔽され」「無かったことにされ」「言ったことをバラされ」自分に被害が及ぶと思って言わない。そういうニュース 多いよね?

わかるよ。信頼できる大人も少なくなってる。学校も教師も、自己保身の塊なのが多い。わかる。わかるけど。

Do what you can even if it's scary

自分に被害が及ばない方法でも「自分にできること」は あるはずだ。人が死んだりするとこまで行くのが最近のいじめだろ。なのに「見て見ぬふり」して良い訳ないじゃん。小さなことでもいいから「解決するための行動を起こせ」ってことさ。その場にいたんなら、空気の一部なんだから。考えて、何かをやらなきゃ。

そういうこともやらない。「興味ないし」とか無関心を装って、怖いだけだろ? いくじなしの自分に嘘をついても、もう1人の自分は見てる。誤魔化せねーぜ。

他人の不幸は蜜の味、なんてほくそ笑んでるヤツも、頭悪すぎて笑っちゃう。次、お前がターゲットにならない保証はどこにもないぜ。想像力、無いの? バカなの?

いじめが無くならないのは、そこにいた全員が犯人なのに「俺には関係ないもーん」って言い訳してる確信犯たちが多いからだよ。もう1度言う。いじめは「そこに居合わせた全員が犯人」だ。犯人になりたくなけりゃ、自分なりに考えて行動をとれ、ってことだ。

A girl who smiles maliciously
A girl who smiles maliciously

いじめてるヤツと殴り合え、なんて言わない。暴力も勇気もなくていい。せめて、信頼できる大人に話してなんとかしようとする行動ぐらいは起こせよ、ってこと。それが共犯者にならない唯一の方法だ。

偉そうに言ってるけどね。これは、あの時の自分に言ってるんだ。そして、全てのいじめの現場に居合わせた人に言ってる。共通認識として。共犯者になりたくなけりゃ「個人の義務」を果たせ、ってこと。

まぁ、バンドのパワーバランスから言っても、チビ太は「いじめの標的になりやすい」

うがった見方をすりゃあ、ストリートではトモコはバツグンに人気がある。
「音」を支えてんのは自分達なのに、って面白くない。
コイツばっかり。実力も無いくせに目立ちやがって、って。
音楽出身者に、そういう気持ちが全然無かったとは、言わさねぇぜ。異常だもん、あの雰囲気。

もう みんなの気持ちがチグハグに混乱して。

全員がイヤになっていた。何に対してイヤなのか。それすらも解らないまま、全員がチビ太のチューニングを待っている。

「何でこうなる訳?」って答えを求めるうちに、「一体、誰のせいだ?」って犯人探しがはじまっちゃう。

looking for the culprit

バイトを切り上げて、練習に遅れないように走って来たのに、急いでスタジオに来てみれば、ただ チューニングに付き合わされる―――だけ・・・・

皆のイライラはピークに達していて、攻撃目標を捜しはじめていた。

その時。

「時間どろぼう!」

空気を引き裂くように、ツッパリ・クミコが叫んだ。

ハッとしたように、その場にいた人間達がこわばった。
ツッパリ・クミコも「しまった」という表情を見せたけど、もう遅い。

time thief

人を罵る暴言を吐いた一人の言葉に、その場にいた全員が凍りついているイラスト。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・クスン。クスン」

普段明るく脳天気なチビ太の目から、涙があふれていた。

「安っぽくなるから、どんな時にも涙なんか流すな」

ってメンバーに言っていたボクの言葉を守って、必死にこらえてるんだけど、いろんな思いが詰まって、こぼれてくるものを押さえることは出来なかった。

A girl who sheds uncontrollable tears
Chibita who sheds uncontrollable tears

この時、リーダーのボクしか この空気を変えられなかったのに。

ボクは何もしなかった。

罪深いよ、ボクが悪い。このいじめの空気を作ってしまったのはボクだ。あの時のボクを怒りたい!

それからだよ。ボクが真剣に音楽の本とか買って読むようになったのは。

知識が無ければ、メンバーを守れない。このままじゃ、大事な仲間がつぶれる。みんなで攻撃し合うグループになってしまう。

ボクが 弱いリーダーだからだ。しっかりしなきゃ!

そう思って、音楽について もっともっと知らなけりゃいけないと思ったんだ。

study music
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