SONG-69【自分ブランド/自分らしさの育て方】 オリジナリティとは?

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自分の見せ方

オリジナリティというのは―――

何もないところからは、絶対に生まれない。

勘違いしやすいから何度も言うね。

今の自分は

親やまわりの友人、知人。TVやラジオ、有線やカラオケから流れてきた はやりの歌。

そういった物を、知らず知らずに取り込んで、自分のオリジナリティだと勘違いしている。それは、今までのしみつ いた「アカ」のようなもの。

Individual

センスがいい人は オリジナリティ を イチから 作り上げる

どうやって?

全てのオリジナリティは「まねる」ことから生まれる。

絵がうまくなりたかったら、うまい人の絵 そっくりに描いてみる。

野球選手やサッカー選手みたいになりたかったら、そういうセンスのいい人のフォームを盗む。

みんな そうやってきた。一流になった人たちは。

タイプのちがう 色んな一流の人たちの影響を受けるべきだ。真似ても「自分独自の個性、遺伝子レベルの癖が組み合わさる」それがやがて オリジナルに育っていくのだ。

ただし、最初は完コピする勢いで「自分の色を入れよう」なんてくだらないことは考えないこと。今、一流じゃないんだから「完全になりきるつもりで一流の人を全力で真似る」

センスがいい人は、そうやって出来上がる。「センスは受け継いでいくもの」

今回は、そんなお話です。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィールを見てね

目次

SONG-69 オリジナリティとは?

第5章「音楽業界」編

海辺の レコーディング・スタジオ

バンドが解散して。

ボクはもう東京に居たくなかった。これ以上人間関係で苦しむのはイヤだ。

どこか・・・・自然のある、田舎で暮らしたい。へっ、・・青いね。

「! そうだ。 海の近くに引っ越して、バイトを探して。潮騒の音を聞いて暮らそう」

A man who is healed by listening to the sound of the waves

そう思っていた所へ、高円寺のスタジオを設計してくれた 杉田って人から話があったんだ。

「音楽スタジオの運営をやってみないか?」

バブルの頃の話だよ。杉田氏は、幡ヶ谷に自分の経営するスタジオがあって、けっこう儲かって たらしい。銀行が金を借りてくれって言ってきてるらしくて、二号店を出そうかと考えてる。

彼としては、ケナゲにスタジオを運営してるコイツらなら・・っていう目算があったんじゃない?

レイ ギャンを通じて 連絡があったんだ。

「もし、海辺の方にスタジオを作ってくれるなら、やってもいいですよ」

「OK 茅ヶ崎に作ろう」

You can see the sea from the train

渡りに船とはこのことだ。

バンドが解散して、高円寺のスタジオも引き払う所だったからね、話に乗った。レイギャンとヤスコ・クイーンも一緒に行って、「茅ヶ崎の海の近くで レコーディング・スタジオ1つと練習スタジオが2つあるスタジオの経営」をすることになった。

でも、とんでもない話だったよ。

あのね、人の金をあてにするな! 地獄に落ちるぜ、ってこと。

人間って、自分の足だけで立たなくちゃ駄目だ。やりたい事があるなら自分で金貯めて自分の責任、範ちゅうでやれよ。でないと、とんでもないことになる。

be independent

苦しみって、逃げると追ってくる

離婚したくてもできない、みたいな人生相談、あるじゃん?

あれもよーく話を聞いて突き詰めてみると「相手の金に依存していて、それが無くなると生活できない。だから別れたいけど一緒にいます、でもやっぱり不満が・・」って話だったりする。子供もいて、働いて子育てして自立して生活できないから我慢してる、と。

でもね、自立しない限り自由はないんだよ! 相手が金持ってたって、ひどいヤツだったら離れないと不幸になる。どんどん不幸になって、やがて麻痺してボロボロに擦り切れる人生なんて嫌だろ? なのにウダウダ理由つけて一緒にいるのは怖いからだ。自分の力で金を稼いで、生きていくことに自信がない。わかるよ、それは。

でも、そのままじゃ解決しない。苦しみは堂々巡り。誰かに支配されている奴隷と一緒なんだよ。
だったら、少しづつでも自立する訓練をしよう。抑圧された生活の中でも、ちょっとだけバイトして稼いでみるとか。

1万でも2万でも、自分で稼ぐ経験を積めば自立への自信も育っていく。無理なく、少しづつでもいいから「自由になるために、自分で稼ぐ。牢獄を抜け出す。自分の力で生きていく練習をするんだ」それが、嫌なヤツと離れて「自分の人生を取り戻す方法」だ。

dependence and independence

なんで こんな話をするかというと、この時期。ボクは茅ヶ崎に行くのをいろんな人に止められた。

「せっかく東京で築いた バンド の知名度を捨てることになるよ」

「ファンだっているのに・・無くなっちゃうよ。今まで積み上げたものが、みんな」

そう言われても、この息苦しい 今の場所から逃れたかった。頭がおかしくなってた。だから、

「ファンだって、もう千人もいやしないよ。昔みたいに熱狂的じゃない」

と反論した。

「もう一回やれば増えるよ。また少しづつファンを増やしてさ」

「やめてくれ、もうたくさんだ!」

こうやってボクは今までの流れを断ち切った。今思えば、あれは周りの人を通して「そっちに行くと不幸になるよ」って神様が忠告してくれてたかもしれないのに。

意固地になって、徹底的に逆らった。そして・・

「人の金を当てにして」茅ヶ崎に録音スタジオを作ってもらい、そこで運営スタッフとして働いた。でも、「給料じゃなく、運営費として月にいくら渡すよ」という言い方をされた。

「なんで そんな言い方をするんだろう?」と思ったが、「給料は毎月 決まった日に 絶対 払わなけりゃいけないもの」だけど、運営費はね・・

後々 その意味を知って苦しみ、1年も経たず茅ヶ崎を後にすることになる。無理を通せば道理は引っ込むんだ。

waste

これは誰のせいでもなく、ひとえに「自立せず人の金で自分の未来、運命を決めようとした」からだ。すべて自分のせい。自立して自分の足で立たなかったことの報いだ。フゥ・・

これ以上、この件については書かないよ。

ジーニアスが終わって。ボク 気持ち的に逃げてた。

引いちゃったの。その結果、茅ヶ崎に来たでしょう?

何の解決にもなってない。

苦しみって、逃げると追ってくるんだよ。

仲間を連れて、大きな不幸のかたまりになって、襲いかかってくる。

茅ヶ崎に、レコーディング設備つきのスタジオをオープンさせて。客は結構入った。

でも・・・・・

せっかく海の近くに住んでるのに。海なんて見に行った記憶もない。

さらにひどい借金と 人間関係に苦しめられるようになってたからね。

逃げちゃいけないんだ。

Suffering will chase you even if you run away
Suffering will chase you even if you run away

痺れる!女子ロック・ドラマー

一方、バンドの方はというと・・・・・いいメンバーが揃っていた。

レイギャングとヤスコ クイーンの他に、

「うまいな。そのうち機会があれば、一緒にやろう」

と思っていた、タケシってギタリスト。

彼のギタースタイルは、ヌーノ・ベッティンコートというような・・ま、それまでやってきた連中とは明らかに違う「新世代」のギタリストだな、って思ったよ。顔も女の子みたいだし、スラッとした体形でポールギルバートを彷彿させた。指なんか細くって長いしさ、ほんとギタリストって雰囲気。

取り巻きみたいな友達をいつも引き連れてた。仲間内のヒーローだったんだよね。

それから、女だけどすごくパワフルで魅力的な モンチってドラマー。

コイツのドラム最高!シンプルだけど ドカンとくる。ドンブリュアーとか、ボンゾあたりのロック・スタイル。でも、叩いてる姿は にっこにこの笑顔でね、そのギャップがまたいいんだ。

バンドでステージをやってると

「いいっスね、あのドラマー カッコイイなぁ」

って よく言われたよ。
人生ってのは不思議なもので。後年、モンチはボクが最高だと思っているドラマー「イサ」と結婚するんだよ。凄いドラマー同士で結婚するんだから 縁は異なもの だ。

モンチってのは モンチッチに似てるから ボクが付けたんだけど、ホラ おさるが ドラムだかシンバルを叩くおもちゃがあるじゃない? 最初 パッと見た時 そんなイメージがしたんだ。

本名は足立だけど、この場合 モンチだろう、ってね。

このキャラクターは売りになるなぁ、と思った。 案の定 客の視線を持っていってたし。バンドもいいけど、ソロなんて面白いかも。ライブとかではステージのまん前にドラムセットを置いて・・

フフ そのうち金が出来たらやってみたいな。モンチの ソロ アルバムってのは 成立すると思うぜ。

お猿がシンバルを叩くおもちゃの画像

そんな連中とボクを入れて五人編成。

やるのは 骨太のファンクンロール! イメージはふくれ上がった。

「JAPS」っていう名前にしたんだ。ボクの新しいグループ。
昔、ちょっと入団したことがある「ミスタースリム・カンパニー」(詳しくはこちら)っていうロックンロール・ミュージカルの劇団があって、そこの専属バンドに「東京JAPS」ってバンドがあった。

後に「摩天楼ブルース」ってヒット曲を出すんだけど、そのヒット曲よりも、当時やっていたアクションバリバリのロックンロールの方が遥かに素晴らしく、ドキドキした。ボクのロックンロール・ジーニアスのお手本にもなってたバンドだ。今じゃ有名な DJ の「赤坂さん」が ドラムを叩いてて、そりゃあそりゃあカッコよくて。

だから思わず「JAPS」ってバンド名にしたんだけど、ヤスコ・クイーンの知り合いの外国人から

「その名前はよくない。ボクらからしたら不快になる。すぐに変えるべきだ」

って言われたんだって。苦笑いしたけど、しばらくその名前で活動してたな。
みんなに、

「茅ヶ崎にスタジオもあるから、来いよ。うんと練習して、カッコいいバンドにしようぜ。レコーディングも出来るし」

「うん、やろう。やろう」

また、希望に燃えてさ。活動をはじめた。

maniac rock

ところが。相当ロックに傾いたから、昔のファンがついて来れないんだ。

ジーニアス解散の時にね、マコト・クレイジー に言われたの。

「オレが居なくなったら、曲作りとかアレンジどうすんの?ロックっぽくなくなっちゃうじゃん」

「ハァ?」

カチン、ときちゃってね。冗談じゃない。ボクだって、もう素人じゃねーんだよ、と思って。

「よぉし、そういうこと言うんなら、ジーニアスの時よりもゴリゴリでハードにしてやろうじゃ ないか」

意地になっちゃって。ちょっとマニアックになりすぎたな。

ロックに全振りして作った曲がこちら ⇩ モンチの骨太ドラムも聞き応えあり

いけないよ、やっぱり。音楽はもっとナチュラルで楽しくなくっちゃあ。

フーリッシュなプライドでやるもんじゃないからね。このサウンド・チェンジで、また随分 昔からのファンを失った。

「シフト」の連中とつるむことが多くなった。一緒にライブをやったり、イベントに出演したり。

茅ヶ崎のスタジオでレコーディングして、ジャップスとシフトでオムニバス アルバムなんかを作ったりして。

骨太なバンドにはなってきた。でも、納得するには程遠い。

ファンクンロールはやりたいけど、どうすれば そんな曲が書けるのか?

再び疑問にぶち当たった。

think of ways to solve problems
think of ways to solve problems

シフトのギタリストが、すごく音楽知識とセンスがあって。

「草野ちゃん、どうすれば そんなファンキーになれるんだい?」

って聞いた。

色々教えてくれたけど、音楽的なルーツを作り直さなければいけないみたいね。

「まずは、ファンキーでカッコいいバンドを聞くことだよ。聞いて、聞いて。聞き込んでコピーする。カズちゃんのために、いっぱいカセットに吹き込んどいたから」

山程 カセットテープやビデオをくれたんだ。そういうことするのが好きみたい。彼。

「BBA」 「ハンブル パイ」 「アレサ フランクリン」に「グランド ファンク」

新しい所では、「ブラック クロウズ」や「サス ジョーダン」「スティーヴィ サラス」・・・・

吸収すべき ミュージシャンは山程いた。

「本物のセンスを身に付けなければ。登って行って 又、世界大会の時みたいに 才能あふれるミュー ジシャンに出会って おたおたしたくないからな。自分のサウンドを確立するんだ」

そう、オリジナリティ。

それまでも、ボク達は十分個性的だった。オリジナリティにあふれていたと思う。

でも、それはパフォーマンスに関して、だ。

道行く人の目を、一瞬にして釘づけにする。

そのためには何でもした。転がったり、サックスを吹きながらバク宙したり、ギターから火をふいた り、ね。

そういった事に関しては、絶対に自信があった。

それでコンテストに優勝するぐらいまでは行けただろ?

どんな奴でも納得させる。理屈じゃなく、ボクたちのパフォーマンスで・・・・・

そういう意味では、非常に「原宿的」なバンドだったと言えるね。

でも。そろそろ気づいてきた。

音楽的にはツマんない。

だいたい「オリジナリティ」ってことを理解してなかったんだ。自然に自分の中から湧き上がってくる もんだとばかり思っていた。生まれた時には既に持ってるんだとね。違うよ! 断じて違う。

Originality

オリジナリティというのは―――――――

何もないところからは、絶対に生まれない。

たとえばボクの場合、「フン フン」って鼻歌まじりに作曲してた訳だけど。それは今までのしみつ いた「アカ」のようなもので。

親やまわりの友人、知人。TVやラジオ、有線やカラオケから流れてきた はやりの歌。

そういった物を、知らず知らずに取り込んで、自分のオリジナリティだと勘違いしていたんだ。

そういう曲をやるんだったら、バンド組まずに芸能界のアイドルやった方がいい。

バンドやるなら、まずコピー。カッコいいバンドの演奏をてってー的に分析して、まねる。

なぜカッコいいのか?なぜ人がしびれるサウンドなのか?

そのバンドの そのプレイヤーになりきるぐらい「ものまね」してみる。

これって音楽だけの話じゃないよね?

全てのオリジナリティは「まねる」ことから生まれる。

絵がうまくなりたかったら、うまい人の絵 そっくりに描いてみる。ミケランジェロの天上画をスケッチして たくさんの画家が育ったように。いや、ミケランジェロだってレオナルド・ダビンチを真似てプロになった訳だし。

野球選手やサッカーでプロになりたかったら、そういうセンスのいい人のフォームを盗む。

みんな そうやってきた。一流になった人たちは。

Inheriting human history
Inheriting human history

それも まねするのは一人じゃなく、タイプのちがう 色んな人たちの影響を受けるべきだ。

もちろん 自分の好きな人っていうのが前提だけど。

そういう色んな人のコピーが自分の中で化学変化を起こして、自分の個性を強く 深いものにし ていく。

一人の人間が一生をかけて作り出すものは、たかだか四十~五十年の歴史しか持っていない。

底の浅いものだ。

ところが、過去の偉大な人々が作り上げた遺産の上に家を建てれば、自分の四十年プラス何百年、何千年という 人類のキャリアがプラスされる。

「センスがいい」

って言われる人は、そういうキャリアを受けついだ人達のことさ。

そうやって歴史は続いていくんだ。

ついでに言うと、ストーンズのキース リチャーズは、自分のヒーローだったチャック・ベリーをプロになった後でも大事にしている。

明らかにチャック・ベリーの弾くフレーズよりも、キースの方がカッコよく 現代的に洗練されていた としても、チャック・ベリーは自分のスタイルをゆずらない。頑固ジジイ全開!

キースもそれを認め、サポートする。

歴史を作ってきた先輩を大事に出来なければ、いつか自分も粗末にされる。

ピークを過ぎた時ね。

Imitation will foster originality
Imitation will foster originality

日本の様々な分野で、この過去から未来に続いていく歴史が 粗末にされていないかい?

これは先輩たちにも原因がある。

たとえばバンドの世界だったら、自分が売れた時に 無名の後輩たちにチャンスを与えているか?

アメリカだったら、ワールド ツアーの前座とかに有望な新人を使う。チャンスを与えている。

それが刺激にもなるし、時として前座にメインが食われちゃうこともあるけど・・・・・

そーゆーことをやってる日本のバンドは少ないだろ?
ボクはメジャー・デビューする直前に、鹿児島のライブで、あるプロ・ミュージシャンに すごく嫌な扱いを受けていじめられた。

そんなことされたら、自分が売れたらそいつに協力しようなんて思わないよ。フザケンナ! って思いだけが残る。

大人達が、子供にチャンスも希望も与えなければ、子供だって大人を尊敬するようには ならないんだ。だから、ピークが終わったら それで歴史が切れてしまう。

さみしいね。日本でバンドマンの厚みが足りないのは、そういった理由だ。

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Imitation will foster originality
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