音楽業界で成功したい人、すごく重要な話
をするからよく聞いて理解してね。
まず 音楽CD を制作するには「リクープ・ライン」というものがあるんだ。
リクープ・ライン つまりは「損益分岐点」ね。これ以上売れれば黒字、これ以下なら赤字 というラインだよ。この「リクープ・ライン」が 当時 3,000枚 と言われていた。
シングルCD 1枚の販売価格が 1枚 千円 だとして 300万円売り上げなきゃ 作る意味ナシ、ということね。
この 3,000枚 のリクープ・ラインを、ちょっと名のあるタレントでもなかなか超えられない。だからアイドルデビューしても次の CD が出せず バラドルになって「お笑い芸人とタレントの中間」のような仕事をするようになるんだ。
3,000枚以上 売れないヤツに業界は興味ないわけ。まぁ、3,000枚の顧客が既にいる連中に対して、初めて業界のテコ入れが入る。
世の中、悪いやつもいっぱいいる
男でも女でも、飛び抜けた「何か」を持たずに「業界に何とかしてもらおう」と思った時点で負けが確定する。男だったら、これからボクが経験するようなことになっていくだろうし、女はもっとヤバイ!!
有名になるにはとにかく顔を売って、名前を売って・・・なんてうまいこと言われてAV に出演させようとする事務所なんてゴマンとある。
戦略なき者、実力なきものにとって業界、芸能界は本当に恐ろしいところだから、絶対に気楽に、うかつに近づいちゃダメだよ。
具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。
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SONG-76 「イロモノ」バンド
まず、100曲近くある オリジナルの中から、使えそうな物をピックアップする。
「こりゃ駄目だ・・・・・これは残し・・・こんなの使えない・・お、これはいいじゃないか」
ジミー・木場 氏 主導で、ゴミ箱行きと 手を掛ける曲の選別が終わった時、あ然とした。
せっかく ファンクン・ロールをきわめようとしていたのに、ジミーさんのチョイスした曲は、どれも昔のポップな歌謡ロックばかり・・・
業界基準
これは よくあることだけど、ロックバンドがデビューする時には、単なるアイドルにされちゃうって話。ボクたちの場合、年も年だし アイドルにもならないから、色モノだよ。扱いは。
そう。今 振り返って見ると はっきりわかる。
業界はボクたちを完全に「イロモノ」として捉えていた。
バブルになってから「年齢」と言うものがさらにシビアになり。ある業界人に説明されたんだ。
「20歳まではアーティスト。ハタチ過ぎたら裏方に回ってもらって作詞、作曲。 楽曲提供する側に回ってもらう。それも女の子に限る。男は・・高校生以上はみんなイロモノだな」
これ、マジな話だぜ。いまだに そう思ってる業界人は多いと思うよ。日本の音楽業界には「アイドル」と「イロモノ」しかいない、という事実。
アーティストだっているじゃん、と思うでしょ?
アーティストは「自分の力で」「ファンを連れて」音楽業界へ乗り込んでくる。音楽業界になんとかしてもらおう、なんて思っちゃいないのよ。業界に頼った時点で「イロモノ」決定!
アーティストになりたきゃ、別ルート!
インディーズでも何でも、自分で売りまくって ファンを作って「自分の力でもやれる」けど「業界がお手伝いしましょうか?」って言ってきた者のみがアーティストになれるんだ。
これには業界のシステムを知る必要がある。
音楽業界で成功したい人、すごく重要な話をするからよく聞いて理解してね。
リクープ・ライン
まず 音楽CD を制作するには「リクープ・ライン」というものがあるんだ。
リクープ・ライン つまりは「損益分岐点」ね。これ以上売れれば黒字、これ以下なら赤字 というラインだよ。
この「リクープ・ライン」が 当時 3,000枚 と言われていた。
シングルCD 1枚の販売価格が 1枚 千円 だとして 300万円売り上げなきゃ 作る意味ナシ、ということね。
この 3,000枚 のリクープ・ラインを、ちょっと名のあるタレントでもなかなか超えられない。だからアイドルデビューしても次の CD が出せず バラドルになって「お笑い芸人とタレントの中間」のような仕事をするようになるんだ。
3,000枚以上 売れないヤツに業界は興味ないわけ。まぁ、3,000枚の顧客が既にいる連中に対して、初めて業界のテコ入れが入る。
当時よく言われていたのが、1万枚 インディーズで売ったアーティストの所には業界が並びはじめ、3万枚売ったバンドには豪華接待の引き抜き合戦が始まる、と言われていた。
X JAPAN とか BUCK-TICK(バクチク)なんかは、そうやってのし上がってきたわけだ。
あとは もの凄い才能とルックスと業界に力を及ぼせる家柄があれば華々しくデビューできるよ。宮本エミリ みたいにね。
男でも女でも、飛び抜けた「何か」を持たずに「業界に何とかしてもらおう」と思った時点で負けが確定する。男だったら、これからボクが経験するようなことになっていくだろうし、女はもっとヤバイ!!
有名になるにはとにかく顔を売って、名前を売って・・・なんてうまいこと言われてAV に出演させようとする事務所なんてゴマンとある。
戦略なき者、実力なきものにとって業界、芸能界は本当に恐ろしいところだから、絶対に気楽に、うかつに近づいちゃダメだよ。
だからね、あの頃のボクに言ってやりたい。
周りをよく見回してみろよ。アイドルばかりだろ? お前には無理だ。
やりたい曲でデビューしたいなら インディーズでファンをつけて CD を売りまくれ。たくさんのファンがいればメジャーになれるぞ。それ以外にないんだよ、ロックでデビューする方法は!!
ロックンロール・ジーニアス 時代のボクたちなら公式でも 2,000人のファンがいた。
ちゃんとやれば 3,000枚の リクープ・ラインだって、1万枚のセールスだって不可能じゃなかったはずだ。ちゃんとやれば、ね。
X-JAPAN みたいにやっていけただろうに。どうして業界に頼った???
ボクの考え方の甘さ。古い時代のマンガやドラマを見て「デビューするには業界の誰かに見出されて」みたいなお伽話を信じていたんだ。シンデレラみたいに王子様が・・いや大物業界人がガラスの靴を持って現れると信じていたんだ。
「さぁ、シンデレラ kaz子、ボクと一緒に行こう! そして華々しくデビューするんだ!!」
なんてね。来ないよ王子様は。一生待っててもね。
バカなボク。何にもわかっちゃいなかったーー
ファンクンロールを極めようとしてたのに「メジャーデビューさせてやる」って言葉に負けたんだ。日和ったんだよ。バカなボクは!
だってボクの尊敬する「ケーシー・ランキン 」をプロデュースしたジミーさんが言うんだ。
「とにかくこの世界は売れたもんが王様だ。売れたらいくらだって 好きな音楽やらせてやる。だから、それまでは最短距離で売れるように俺の言うことを聞け」
ボクは・・・見返したかったんだろうな。
メジャーをつかみきれない「哀れなやつ」みたいな目をしてボクを見たヤツラのことを。ジミーさんが、「スターにしてやるから。俺に任せろ。ロックスターに昇り詰めて、バカにした奴らをひざまずかせてみろよ」なんて言うから。その気になったんだ。でもね、
ジミーさん、そう言いながら唇の端で笑ったんだよな。かすかに。
ああいう時、人間って鋭いよね。相手の嘘のかけらを見抜く。
信用しちゃいけない、って心の奥が警告するんだ。
なのに、その警告をボクは無視した。「見返したい」って欲が 第六感を鈍らす。打ち消す。詐欺師に引っかかる人の真理はみんな同じ。心の「変なこだわり、思い込み」が第六感を封じ込める。
なぜ、ボクは信念を通さなかったのか? 今もあの日の自分に尋ねてる。
業界で作られた音楽、自分が目指す音楽。
やりたいことと、やれることの葛藤。
写真撮影とかも。
イメージからロックっぽさを排除していく方向に進まざるをえない。
もう1つの選択は、このままアマチュアでいるってことしか無いと思ってたからね。
実はこの時点で、もう一人いた ロック志向のギタリスト。音楽性を優先させ、業界の言うことに反発していたけど、脱退を余儀なくされた。今思えば、抜けたアイツが正解だ。
そのロックギタリストが抜けて、再び四人になる。
ボクとヤスコ・クイーン、レイ・ギャング、トミノスケ。またボクがギターを弾くようになったからさ、大変だ。
でも、これが良かったみたい。ジミーさんのイメージが固まったんだ。
フロントは三人。
ボクと・・・・あとは 女が二人。ハーレムのイメージ、だって。
「ハーレム?」
いちいち鼻につく業界の仕掛け。
「よし。面白いユニットになった。男一人に両サイドを女で囲む。お前ら、スカートをはけ!」
「え—————っ!」
ジミーさんの言葉に、メンバーが叫んで レイ・ギャングを見た。
ヤスコ・クイーンはいいよ。あいつは「女の子」としてやってきた奴だ。可愛コ ブリッ子も得意だし。ミニスカートも普段から好きで、よくはいている。
でも、レイギャングはどうする訳?
あいつは女だけど、女じゃない。クールでワイルドな雰囲気でやってきて、体型的にもそれが一番合ってる。
そんな奴が、太もも あらわにするミニスカートなんて・・・・・・
はいたよ。アイツ はきました。皆で大笑いしたもん、ホント。知られざる過去シリーズだ。絶対出せないお蔵入り資料だな。
とにかく何が何でもデビューするんだ。約束の場所「武道館」のステージに立つんだ!! 必死だった。
パッケージ感
ジミーさんに会う日には 毎回、演奏している所をビデオに撮って持っていく。
「おう。レイ・ギャング、いいじゃないか」
ジミーさんが言うと、「えー」って皆が。ブーイング。すかさず ジミー・木場さんは、
「馬鹿だな、お前ら。グループには“パッケージ感”っていうものが大事なんだよ。パッと見たら忘れられなくなるようなイメージ。ああ、ジーニアスっていうのは ああいうグループねって、一言で説明出来るイメージがさ。今までのお前らだったら、説明つかんだろうが。それが今回、二人が女を出すことによって、カズを女がとり囲む いわばハーレムのイメージが出て来たじゃねぇか」
「ハーレム・・・・ですか」
この人、そういうの好きだな。と思ったけど、それは口に出さない。
「いいか。女は女っぽく、カズは男っぽく。黒と白。グレーはいらない。コントラストがはっきりしなければ、強烈な個性にはならないんだぞ。レイがグレーだと、カズの色っぽさが死んでしまう」
「色っぽさ? カズさんが?」
レイ・ギャングが驚いて ボクの顔を見る。
「ワイルドじゃなくて?」
ヤスコ・クイーンも、レイ・ギャング とボクの顔を交互に見つめ、首を傾げたから ジミー・木場は、
「なんだ、気付いてないのか? コイツは結構 男の色気を持ってるんだよ。それをお前らが殺しちゃってる。生かしきってないんだ」
と断定的に言った。
「・・・・・・・」
極端ではあるけど、確かに自分達の気付かない部分を突いてくる。さすが ヤリ手のプロデューサーだ。さらに ジミー・木場さんは続けて、
「いいか、もっと女を出せ。化粧をして、髪型もアップにしてみたり。研究してみろよ。それから カズは、ギターを弾きながら歌った方が クールでカッコいいぞ」
と言うので ボクは、
「ハァ・・でも、オレ一人じゃあ 荷が重いっスよ。弾きながら歌うと、思うようにレンスが広がらない。歌のクオリティーが落ちるんスよね」
「それでいいんだよ。お前は入れ込みすぎて、熱くるしくなる所がある。それが欠点だ。歌いこみすぎると、クサくなって 客が引いちゃうことだって起こるぞ。いつも余裕を残して 70 %ぐらいの力で歌う。そのためには 今ぐらいで丁度いいよ」
「オレのゴールデン ヴォイスが・・・」
冗談まじりに、なおもくい下がると ジミーさんはまじめな顔になり、
「歌で賞を貰ったとか、何とか。そういうプライドは捨てろ。そんな物は、しょせんアマチュアの中での出来事だ。これから お前たちはプロになる。もうアマチュアじゃないんだ。自覚を持て」
そうやって月日は流れていった。
ジミーさん、だんだん認めてくれるようになって。
「この世界で通用するかどうかは、技術じゃない。日々成長しているかってことだ。お前らは、毎週 俺が指摘した所を確実に修正し、レベルアップしてくる。そういった意味では、成功するための 最低限の条件を備えているといえるな」
最初はそれほどでもなかったものが、熱を入れるように なっていた。
ボクたちとジミーさんとで、作品を完成させつつあったんだ。
「よし、そろそろ動くぞ。レコード会社のディレクター連中に、お前らを紹介していく」
ジミー さんの言葉に全員が、
「やったぁ!」
と喜んだ。
やっと近づいて来た。プロというものに。約束の場所に。
ジミーさんが 中島 社長と もめだしたのは、それからすぐのことだ。
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