「音楽業界の、ギャラって いくらぐらいなの?」
「演奏したり、ライブハウスに出演すると いくら貰えるの? テレビやラジオ出演のギャラは?」
永年 バンドマンやってると、業界のギャラの相場をよく聞かれる。
夢の世界のお金事情ーー
でも、聞かない方がいいかもよ。
夢のある世界の、ギャラは夢のない話だから・・
ホント・・ひどい世界だ。
まぁ、ボクが現役で音楽活動をしていたのは 随分前だから、今とは多少 状況が違うかもしれない。
でも、プロになった後輩たちの話を聞いてみても あまり好転しているとも思えない。
あの頃と、似たり寄ったり。
まず、「アゴ足付き」っていう言葉を説明しよう。
アゴっていうのは食事。つまり弁当なり 賄いなりの食事が出る仕事、っていう意味。
足というのは交通費ね。交通費が出るかどうか。
交通費が出るなんて、当たり前だろ? と思っているなら甘い。一般社会の常識は、音楽業界では通用しない。
まぁ、交通費は出る、ってことも多い。
交通費は 普通に出る。でも、出るのは「交通費だけ」っていう話ね。
これに アゴ、つまり食事が付くかどうかで「新人の演奏ギャラ」は終わり、なんてこともよくある。
現場に行って、交通費と食事がついたから「赤字にならずに済んだねー」なんて ホッ、とする世界。どう? 夢がないでしょ。
あとは「取っ払い」と言って「事務所を通さず、現場で直接キャッシュを貰う」って方式がある。
これは嬉しい。中抜きされず、直接ギャラが入るわけだから。取っ払いは この世界 多い やり方だけど、事務所通さずに仕事受けたことがバレると怒られたり 干されたりする。
あと、仕事によっては「反社」だったり「宗教」だったり「マルチ」で世間的に叩かれる危険もあるよ。
少し前に「芸人が 反社の取っ払い仕事をして」マスコミに叩かれたでしょう?
取っ払いは嬉しいけど、問題になったら怖いから 事務所を通す。
事務所も「はした金」しか出ない仕事で「断れない時は 新人に」取っ払いで全部もらっていいから、と言って仕事を振る。
昔 大手の事務所にいたけど、今は契約が切れてフリーになった。そこへ 昔の知り合いが 仕事を依頼してくる、なんてこともあるよ。こういう時には大手を振って「取っ払い仕事」ができるわけだ。
じゃあ、そういう時 いくら貰えるの? って 気になるでしょう?
そういう時の「取っ払い」
有名アーティストのバックで演奏して、4〜5万 ってとこじゃない?
まぁ、何十万もらう 人気の「業界職人」さんのような人もいれば、2万ぐらいで チャチャッと使われるプレイヤーもいるので、いろいろだね。
ちなみに「ライブハウス」は チケットノルマ制が多く、チケットを何枚売ったかで貰えるギャラが違う。
ほとんど多くはノルマを達成できない。一枚 2,000円 前後のチケットを 最低でも 30枚〜50枚 売らなきゃノルマが達成されない。つまり 30枚以上売ったバンドが ギャラの交渉ができるようになるんだ。
ほとんどのバンドは そこまで客を呼べないから 地腹を切って 呼べなかったお客さんの分のチケット代を払ってステージに立たせてもらい 演奏する。
このライブハウスに、ボクのバンドはピークの頃 客が入り切れないぐらい溢れかえって 一晩で ギャラ 10万ぐらい貰ったこともあるよ(詳しくは コチラ)
ま、そういうことは レア・ケース中のレア・ケース だけど。
取っ払いじゃなく。
事務所で仕事してる連中は、どのぐらいもらえるかと言うと まぁ、売れるまでは 0円。
アイドルなんか、もっと悲惨。
金なんか貰えないどころか 持ち出しだよ。「ステージ立たせてやるから」とか言われてあちこちタダで出演させられ、地方行きのも交通費も自腹。つまり、アゴ足なしだ。
AK なんとか言うアイドル達も、売れてない奴らは そんぐらいの扱いじゃない?
じゃ、なんでやっていけるか? 身内が支えてるからでしょ。「うちの子もいつかスターに」と勘違い(失礼、夢見てる、と言う言い方がいいよね)親や身内が生活費や活動費の一部を出して支えてる。
あとは、バイトでしょ。ファミレスで働いたり、女で効率的に稼ぐならキャバクラ じゃない?
キャバ嬢なんだか「タレントの卵」なんだか境界線の曖昧な子がたくさんいる世界だ。
ほとんどはタレントになれずにキャバ嬢止まりだけど。
運良くテレビに出れてそこそこ人気者になったとするじゃん。ある程度 名前を知られてるクラスよ。
彼ら、彼女らのギャラ、と言うか毎月の給料。いくらだと思う?
せいぜい 4万か5万円がいいとこ。割と知られてる連中が、よ。なんとも夢のない話だよね。
業界って、そういうとこだ。
華やかな暮らし、ギャラいっぱい貰って、なんてのは ごくごく一部。まぁ、千人、1万人に1人ぐらいの世界だと思った方がいいね。宝くじを買うよりは多少マシかな(苦笑
幸せになりたかったら「芸能界なんて目指しちゃいけない世界」なんだ。
芸能活動したいなら、何か特技を身につけて、多くの人に注目され、業界から「スカウト」にこさせなけりゃいけない。安易な気持ちで業界になんか飛び込んだら、地獄が待ってる。
特技があって、人より100倍ぐらい飛び抜けてなければ目指しちゃいけないよ、業界は。
特に女の子は、AV に出される可能性も高いよ。そう言う悪党が多いから。
芸能事務所と名乗ってはいても「悪徳 事務所」が本当に多い。お父さんは心配だ。
今は、あの頃より もう少しましかな。 インターネットの世界になり。あの頃より全然チャンスがある。やり方次第。
You Tube もできるから、あの頃今の状況だったら ボクは間違いなくそっちに勝負の場を移しただろうね。業界じゃなく、自分でサイトやチャンネルを作って 直接ファンと交流していく。
今の人たちがうらやましいよ。あの時代、ボクは息苦しい「既得権益でがんじがらめ」の世界にいて もがいても、もがいても クモの糸から逃れられなかったんだ。
そして年をとり。
ま、それでも夢と希望を持って ボクは 今日も走ってるんだ。
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