SONG-22【苦しいから逃げる/さらに状況は悪くなる】遠回り

SONG-22main-visual-Run-away 線路の上を歩く青年の画像。 タイトル 「SONG-22 遠回り」 メッセージテキスト 「苦しみは追ってくる。逃げずに向き合おう」
神様からの強制送還

苦しみから逃げると、苦しみは追ってくる。どこまでも追いかけてきて、さらに状況は悪くなる。

そういうボクの体験を、今回は話そう。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィール を見てね

hell-or-heaven
目次

SONG-22 遠回り

実は、ここまで読んでくれた あなたに話してないことがある。

これは話そうかどうしようか迷ったけど、このままにしておくのは どうにも胸がモヤモヤするので話してスッキリさせたい。

ボクが車から飛び降りた話、覚えているよね? →詳しくはこちら

あれは・・ちょっと時系列が違うんだ。詳しく説明するね。

この時期、ボクはバンドメンバーが見つからなくて。バンドが組めない苛立ちと焦りで本当に精神的に疲弊していた。行き詰まって頭を抱えていたんだ。

そんな折り、九州の田舎に帰ったおふくろから連絡があった。

「一度、鹿児島に帰ってこい」って。

countryside

そんな金ないよ、というと旅行代送るから「大事な話があるから、とにかく帰ってこい」と。

何だろうと思うじゃない? 

帰ってみるとおふくろが

「店をあんたにやるから後を継げ」

と言うんだよね。

出水(いずみ)っていうボクの田舎、熊本に近い鹿児島のど田舎なんだけど、その街に、おふくろが「キティちゃんのグッズショップ」をオープンしたら大当たり。

hello-kitty

今よりずっと「キティちゃん」の知名度は低い頃だよ。まだそんなにブームになってない頃、突然おふくろが

「ボケたおばあちゃんの面倒を見るために田舎に帰るなら、キティちゃんのお店オープンさせて」

と親父と交渉して、ついでに「ハロー キティ」の会社とも話し合って権利を勝ち取った。

親父としちゃあ、自分の母親の面倒を見てくれるために田舎へ帰ってくれる妻の頼みなら何でもしてやろう、って思ったみたい。優しい男だからね。

親父は船を降りた後、会社と掛け合って「船員の質を向上させる 研修センター」なるものを千葉に作らせ、そこの所長になっていたんだ。で、陸に降りてそんなに経ってないのに退職することになった。

定年まではまだ時間があるから、会社からも同僚からもすごく引き止められた。

でも親父は高級取りの地位を捨て。スパッと会社を辞めた。

朝日を浴びるlarge shipの画像。

少なくない退職金をもらい、さらに横浜の家まで売って潤沢な資産を抱えて ど田舎に帰った。おふくろの夢「キティちゃんショップ」をオープンさせたわけだ。

おまけに親父は、併設するカフェのマスターにまでなった。

経験のない親父は「カフェ・スクール」なるものに半年ほど通い、みっちりマスターになるための修行もこなした。

「キティちゃんショップ」と真面目な親父の入れる本格コーヒーの店は、田舎でたちまちヒットし、あっという間に2店舗目もオープンした。こちらも順調で。

1年もしないうちに、今度は3店舗目を鹿児島市内にオープン準備予定だという。

「なんと言うことだ」と、ボクも舌を巻いた。おふくろにそんな商才があったなんて・・・

ところが、ここが素人の浅知恵。

急激な事業拡大にはそれなりの経営手腕が試される。そんな簡単なもんじゃないよ。素人が踏み込んじゃいけない領域だった。

2店舗ヒットしたから調子に乗ったんだね、おふくろ。

3店舗目は、鹿児島市内の、女子高の近くだから「また絶対、成功間違いなし!」

と意気込んでいたけれど。

万引きの嵐に遭った。

万引きをしている少女。

テキストメッセージ

「someone is watching」

店がオープンすると、すぐ。その学校の女学生の間で「キティちゃん」は人気になった。が、キティちゃんが欲しい学生たちは買わずに面白がって万引きし始めたんだ。

買ってくれるなら商売になるけど、万引きじゃ話にならない。女生徒が制服のまま、集団で徒党を組んで万引きにくる。

もちろん、ちゃんと買ってくれる真面目な生徒も多いよ。でも、その何倍、何十倍、何百倍も万引き被害に遭って店がガタガタになった。

しかも、万引きする生徒は楽しんでやってる。

罪悪感なんか、これっぽっちもない。いつから日本人の一部は、これほど劣化してしまったんだろうか?

女性だから、いずれお母さんになる人も多いだろ?

お母さんになったら子供になんて言うんだ?

「世の中、うまく渡ったもん勝ちよ。あんたも万引きしなさい。うまくやればバレないから」

そう言うつもりなのか?

恥を知れ! と、言いたい。自分の中のもう一人の自分が怒っている声を聞きなよ。

自分の心に「私は誰も見てなければ万引きでもなんでもする女です。犯罪者です」って刻みつけてるんだよ。恐ろしいことだ。

自信ってのは「自分を信じる」って書く。誰も見てなくても、一番大事なもう一人の自分は見てる。裏切っちゃダメなんだ。

ま、若気のいたりで自分を許しちゃうヤツもいるけどね。「若い時の話だから、あれは無かったことに」

なるわけねーだろ。店を潰されてるオーナーがいるのに。

心は知ってる。自分の心は、じーっと見てるよ。キミが何者なのかを。

じっと見つめる女性の左目のアップ画像。

テキストメッセージ
「あなたは 何者?」

ま、そんなヤツらのせいで。

2年もしないうちに、鹿児島市内の店は潰れ、その煽りを受けて順調だった2店舗も人手に渡すことになる。悪い流れに入ると一気に財産を失うよね。

まぁ、それは未来の話で。

ボクが田舎に呼ばれた時は「鹿児島市内進出が決まって、おふくろの鼻息が荒かった頃だ。

「あんた、店を継ぎなさい。今、順調で大変なことになっているのよ」

ニコニコ笑いながらおふくろが言った。

「何言ってんだよ。オレは今バンドやってて」

「そんなもの、うまくいかないから。こっちはもう軌道に乗り始めてるんだから店を継いで・・・」

相変わらず人の話を聞かない。自分の夢が膨らんじゃってるからね。でも、こっちだって譲れない。やっと見つけた自分の夢。未来なんだ。今はメンバーも見つけられなくても・・・

3日間、朝も昼も夜も説得され続けた。耳にタコができるぐらい。

でも、NO !  どうしたって受けられない話だ。

no-way

平行線な議論が続いて、4日目についにおふくろも折れた。

「仕方ない。じゃあ、あんたはあんたの道を生きなさい。こっちは、あんたが将来店を継ぎたいと思った時に納得できるぐらい大きくしておくから」

そばで親父は、うんうんと頷いた。かわいいね、このひと。と思ったもんだ。

その後に訪れる万引きの嵐がわかっていれば、新規進出を止めたのにな。人生、先はわからない。

で、ひとしきり話が終わった後、

「あんたには店を残そうと思ったけど、継いでくれないから財産はもう無いわよ。横浜の家も売っちゃったし」

「ああ、いいよ。わかってる」

「でもかわいそうだから、これ持って行きなさい」

と封筒に入った金を渡された。

「いや。いらねーよ」

「いいから! 他にはもう、本当に財産なんて渡してやれないから。これは持っていって。音楽なんて、先の見えないことやってるんだから、お金は必要でしょ」

give an envelope containing money

返しても2倍の力で押し返してくるのに根負けして封筒を受け取った。

中身を見ると、大金とは言えないけど、まとまった札束が入っていた。まじか・・

「いいの? こんなに」

「いいから。これが最後だから。あんたにしてやれること」

相談もなく横浜の家を処分したことに負い目があるのか。単純にボクを心配してなのか、おふくろは神妙な面持ちで言った。なんだか御涙頂戴劇場になりそうな空気を恐れてボクは笑顔で「ありがと」と、それを受け取ったんだ。

封筒の押し問答をしている最中から、使い道が頭を占領していた。

「アメリカに戻りたい、もう一度! 」その考えに支配されていた。

今にして思えば「逃げ」だ。認めたくないけどボクは気弱になって逃げの姿勢になっていたのだろう。

もちろん、再びアメリカに戻っても、長期滞在、生活するなんて無理な話。でも、アメリカまでの往復の航空券代と安宿に何日か泊まる費用ぐらいは賄える金額が封筒の中にあった。

USA-image

本来なら貯金して、将来のためにうんぬん・・・

ちゃんとした人ならそう考えるね。でもボクは、この時もう一度原点に戻って決意を新たにしたかった。あのバンドに出会った場所に行って、あのバンドを探したい。あわよくばアメリカ人のギタリスト一人ぐらい日本に連れて帰りたかった。

そんなことは馬鹿げた妄想。日本で見つからないメンバーがアメリカで見つかるわけねーだろ、と今ならツッコミ入れるところだが、あの時のボクはアメリカに行けば奇跡が起こる、ぐらいに思おうとしてた。

そのぐらい、日本でのメンバー探しがうまく行ってなくてツラかったんだ。

──

その小銭を持って再びアメリカに渡った。バイトも長くは休めないから小旅行だけど。

安宿に泊まって、衝撃を受けたバンドを探した。見つからず。

向こうでツテを頼ってバンドメンバーを探したかったけど、知り合いも引っ越していなくなってた。音楽やってるヤツに会っても、「お呼びじゃない」って相手にされず。

seems-good

ハンバーガーを大きな口を開けて頬張ろうとする子供。

それを羨ましそうに横目で見る青年の画像。

渡米して5日も経たないうちにハンバーガー代にも困るようになり、思いついたのが昔、友達になった ディック だった。

ヤツに電話すると明るく

「おう、久しぶりだな。ちょっと英語下手になったんじゃないか?」

とからかいながらも、

「うちならホームステイしていいぜ。しばらくうちにいろよ」

と呼んでくれたわけ。

で、2~3日世話になって、あの事件が起きたんだ。

Jump ! 走る車から、路上へ飛び出した少年の画像。

まったくなんなんだろうな。

人生は「神様のすごろく」なのさ。サイコロを振って、その数だけ進まなけりゃいけない。進んで止まったマスの目に書いてあることを実行しなけりゃいけない。

書いてあったことは

「日本でバンドメンバーを探すこと」

なのにボクは、メンバー探しがあまりにも辛くて、再び「振り出しに戻ろう」とした。

すると神様の怒りを買って、ああいう事件に巻き込まれることになる。

「神様のすごろく」は、絶対なんだよ。

そんなわけで 10日も経たず、ボクはまた「強制的に」日本へ返された。

God's forced repatriation

日本で、メンバーを探さない限りボクの未来の扉は開かない。それが「神様のすごろく」 Destiny。

この事実を伝えられて、やっとボクは モヤモヤから解放されるよ。つまり──

「車から飛び降り」たのは、「2回目にアメリカに渡った」時なんだ。

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