先輩、バイト仲間、オーナー
嫌な人間、自分に合わないヤツっているよ。
でも。最初の印象が悪くても、その後かなり深く付き合うようになることは多い。
印象だけで遠ざけずに、相手の話しも聞いてみよう。親しくはなれなくても、さほど毛嫌いすることもないと気づいたりする。
チャンスは人が持ってくる。
人を遠ざけすぎると、チャンスも遠ざかることを理解しよう。
もちろん、話してみて、やっぱり付き合いたくない人間なら、その時に距離を取ればいい。
具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。
ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜
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SONG-25 プールサイド・ハプニング
アルバイト
アルバイトは「東京マリン」というプールの監視員。
最初は夏場だけそこで働いて、それ以外は別のバイトをやっていたんだ。
お茶の水で「スキーの板を販売」したり、梱包屋さんで、有名雑誌社のプレゼントに応募した当選者に賞品を送る仕事をしていたんだ。
でもそのうち「東京マリン」がローラースケート場をオープンして。そっちの監視員も任されるようになったから、一年中そこで働くようになった。
元「東京ボンバーズ」のリッキー遠藤って人にローラースケートを教わって。結構滑れるんだよ ボク。
バイトとして長かったから。サブ・チーフみたいな、そういう立場になっていた夏のある日───
プールサイドで手を額にかざして。
プールをぐるりと見廻し、チェックしてる男がいる。
うさん臭いそいつの姿に、
「瀬戸さん、誰ですか? アレ」
ボクが社員にたずねると、
「ああ。シノザキって言ってな。明日から出勤する 新しい監視員だ。今日は仕事場の事前チェックに来たんだと」
「事前チェック? 何ですか ソレ?」
ボクのけげんそうな表情に、含み笑いをしながら
「いや、あいつさ。去年まで、江の島の海のライフガードやってたんだって。だから自信あるらしいよ。”俺が来たからには、このプールは任せて下さい”って言ってたぜ」
「なんて ふてぶてしい物の言いようだ」
ボク、カチンと来た。コイツ、最初の印象 最悪。
笑っちゃうぐらいキザだった。
やがてそいつ。ボクの方にタッタッと駆けて来て。
「オッス。シノザキと言います。明日っから こちらのプールでお世話になります」
「あっそ」
ぺこりと頭を下げて。ここまでは良かった。問題はその後だ。
「いやあ。 今、軽くプールをチェックさせて貰いましたけど、やっぱアレですね。プールは簡単でいいや。海だったらこうはいきませんからね・・・なんせ毎年、死人が・・・遊泳法ってのがあって・・・人工呼吸・・・ライフガードの資格試験を・・・いやあ プールは足がつくし・・・」
もうこいつの話なんか聞いちゃいなかった。おしゃべりな男は嫌いだぜ。
鼻につく奴だ。ひとしきりしゃべり倒して そいつが帰った後、ボクはフラストレーションを社員にぶつけた。
「瀬戸さん。オレ、アイツ嫌いですよ。合わねぇな ああいうタイプ」
苦々しく言うと社員は、
「よし。じゃあ お前に任せる」
「えっ!?」
「アイツの面倒、よろしく頼むな」
そう言うと、笑いを押し殺したまま、社員は見廻りに出掛けた。
「・・・・・」
後に残されたボクは、ただ呆然とその社員の後ろ姿を見送っていた。
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