SONG-36【無理な計画/無謀な計画/大失敗】馬鹿げた賭け

SONG-36main-visual-piero 風車の前でポーズをとるドン・キホーテの画像。 タイトル 「SONG-36 馬鹿げた賭け」 メッセージ 「無理を通せば道理引っ込む」 「我こそはドン・キホーテなり」
無理を通せば道理引っ込む

どこまで無茶に突っ走ればボクは気づくのか

答えは「大失敗して、立ち直れないほど転落するまでわからない」である。

人は失敗しないとわからない。頭でわかったぐらいでは、また同じ過ちを繰り返す。身も心も傷ついてどうにもならない。ビルから飛び降りたくなるほど追い詰められて、初めて「心から反省し、今までのやり方を改め 改善方法を学ぶ」のである。

だから、飛び降りてはいけない。まだ道は続いている。

絶望のその先に、栄光を用意している。神様は「そういうことをする」

絶望は怖くて悲しくて怖くて、あなたを内部崩壊させる。病気にさせる。おかしくさせる。エネルギーを奪い無気力にさせる。でも、諦めるな。

その先に、必ず栄光は待っている。

信じて再び立ち上がり、歯を食いしばって希望を抱えて歩き出す未来に。神様が用意してくれているのが「幸せ」や「栄光」だ。

Thank-you

次はきっと うまくいく

失敗は何のため? それは「傲慢さを取り除き、優しいけど強い人間にあなたをする」ために与えられたものだよ。辛いけど「受け入れるんだ」

ちゃんと考えて計画を練り直し、素直になって傲慢さを改めれば、次はきっと うまくいく。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

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I feel like it's unreasonable
目次

SONG-36 馬鹿げた賭け

バンドマンを志ざしながらも、遠回りしていた時代。

あの頃のことをこれ以上 細かく書いても意味がないような気がする。笑っちゃう話は、山ほどあるけれど・・・

話をはしょって少し先を急ごう。

バックバンドが充実した。

例のドラマー。宗教活動がますます忙しくなってやめていった。次に入ったドラムは、行動的な奴でうまいプレーヤーを次々に見つけてきた。

New-Drummer

それまでの奴らは、ヘタなくせに態度が悪かったからね。

劇団のバックバンドなんかできるかって感じで、やる気なさそうに弾いていた。

「先輩、俺 自分の曲をバカにされてるみたいで、くやしいっスよ」

楽屋でザキが涙ぐむこともあった。

そういう奴らを新しいドラマーが一掃したの。やる気のない素人とは、つるみたくないって。

「栄」と、いう奴だった。そのドラマー。

ずっと有名なバンドのローディー(機材運び)やってたから、プロの厳しさも 楽しさも知っているんだよね。

だから。ちゃんと練習して、手を抜かないプレイをするメンバーを、どこかからスカウトしてきてくれたんだ。

Band-Member

それでバンドの実力が上がり、いろんなライブハウスに出れるようになってきた。

芝居を少なくして、ほとんど曲を聞かせるスタイル。

ボクは このまま、バンドになっていってくれればと思ってたんだけど・・

原宿の 有名な「クロコダイル」にも出るようになって。

Live-Music-Bar-CROCODILE

「おー、だんだん一流になってきたじゃないか」

って自信が湧いてきたんだ。

「先輩、ここらで ぶちかましませんか?」

「?」

「何かでかい事、ぶち上げましょうよ」

言葉の意味を探っていると、さらにザキは

「そろそろ親もうるさいし、芸能界にデビューするんなら急がないと、俺いなくなっちゃいますよ、先輩」

とかって、おどしをかけてくる。

Selfish-zaki

まるで先が見えない状況ではあったけど、だからって どうする?

ボクの心を見透かしたようにザキは、

「新宿にシアター・アップルってあるじゃないですか? ああいう所でやりたいなあ、俺」

で、見に行った。シアター アップル。新宿コマ劇場の地下ね。

今はもう失くなってしまったけれど「新宿コマ劇場」って言ったら当時 歌舞伎町のランドマークだった。北島三郎ショーとか、芸能界の大御所の演劇やショーが連日催されていた。

その コマ劇場 の地下には もう少し若い人向けの劇場があった。コマ劇場に比べれば、少し軽いというか砕けた現代劇やショーが繰り広げられていたんだ。しかしカジュアルとは言っても、プロのステージばかり。

とてもじゃないけど、アマチュアが出来るような所じゃない。

設備もすごくて、スタッフとか どうすんのって感じ。

だいたいホール借りて、セット仕込んで、なんだかんだ・・・莫大な金がかかるよ。

large theater

マネージャーの倉本に相談した。

「うーん」って。 うーん、それしか言わない。

今ここでザキに抜けられたら、グループは倒れるぜ。

何とかあいつが納得する「形」を作らないと。

それがいけなかった。人間、焦って無理すると、ろくな事にはならない。

渋谷に ヤマハのエピキュラスって音楽ホールがある。

でかい所だ。そこは規模の割には安かった。

とりあえず、ザキを連れて行って。気に入ったから、そこを押さえたんだ。.

1週間ぐらいかな? 6日だったか? またベタ押さえ。

LIVE-hall-stage

それで、再び倉本と相談したら、客を呼ぶためには 誰か知名度のあるゲストを客演させないと駄目だって。

彼に連れられて、代官山の 倉本が前にマネージャーをやっていたモデル事務所に連れていかれたんだ。

交渉したけど、有名な連中はみんなギャラがバカ高いし、第一スケジュールが取れないって。

とぼとぼ2人で駅まで歩いてたら、後ろから

「倉本さーん」

って追いかけてくる奴がいる。べスパに乗って。

man-riding-a-vespa

見た目は悪くないけど、おしゃべりで軽い奴だなって印象だった。

「どーも」

お互い挨拶して。状況を話した。

喫茶店でなんだ、かんだと。とりとめもなく。で、そのベスパの男が

「俺も踊りとか得意で、ミュージカルも主演したことあるけど、今 ホサれちゃって、どこにも出ちゃいけないことになってるから。協力できないなあ」

無名の奴だったから、そいつ。”別に協力してもらっても、客寄せにはならないんだけど” と思った。それにしても、何してホサれたんだ?

それから1週間ぐらいしたら そいつがTVから出て来た。タモリの「お昼休みはウキウキ」ってやつ。それが羽賀ケンジだったんだ。

関係ないけど、ちょっと思い出した。

Musical

いろいろ当たっているうちに、「五十嵐 夕紀」っていう元アイドル歌手が出演してくれることになったの。

さっそく脚本を書いた。オレが勤めていたローラースケート場に集まってくる、面白おかしい奴らの話。

生バンドのローラースケート ミュージカル。

「ローラー・スター」

「これはいける」って思ったよ。バンドもうまいし、ゲストは五十嵐夕紀。ローラースケートはいて、歌って踊るショウ。ローラースケート場で、スケートのうまい連中もスカウトした。

Roller skating star

倉本と金を集める約束をして。オレはいろんな所に頼みこんで一大借金をした。

「ぴあ」に広告を出して、ついでに出演者募集って小さく書いたら、ドッと応募の手紙が来て。何百通の中から、書類で落として、オーディションをした。

結構たくさんの出演者が出来て、楽しくなってきたんだ。

その中に「池田の新ちゃん」と言って、変な踊りする奴が混じっていた。

「真面目でいいんだけど、ちょっとカマっぽいな。どうする?」

「採用でしょう」

その後、そいつ 「ラッキイ 池田」って名で、TVに出るようになったよね。人気振付師になった。そのラッキイ 池田 も、ローラー・スターに出演していたんだ。

Star-Dancer

「ローラー・スター」は、その後どうなったか?

結果、言おうか?

芝居そのものの出来は悪くなかった。そこそこ受けてた。名古屋のイベンターから

「全国にあるローラースケート場を廻って、この芝居をやりませんか?」

っていう誘いがあった。あと、某 石油会社のコマーシャルの話とか。ファンレターも何通も届いて。プチ芸能人扱いされるようになった。

でも そういうものは全て。

巨大な借金の渦の中に飲み込まれていった。

Debt

チャンスが虚しく目の前を通り過ぎていく中で、借金取りとの攻防がはじまったんだ。

倉本は結局、公演前には資金繰りに動いてくれなかった。

前金、前金で渡していけば安く押さえられるものでも、後払いとなると割高になる。しかも、オレの作った現金はすぐ底をついた。

倉本が用意する分の予算が決定的に不足し、迷惑料のような金が余分に出ていく。

それにローラースケートを滑れるような特殊なステージは、さらに借金の額を広げた。

一週間の公演が終わり、最後の幕が降りた後、全てを出しつくしたザキは、ステージ裏で吐いて倒れた。ドラマの主人公みたいに、「燃え尽きた」って感じ・・・

ザキ、なに燃え尽きてんの? って思った。こんなところがゴールじゃないだろ。もっともっと上にいくんだよ。

満足そうなザキの表情を見ながら、それでもボクは倒れる訳にはいかなかった。

これから始まる地獄を思えば・・・

何年か後に、「光ゲンジ」が ローラースケートをはいて現れた時、ひどく胸が痛んだのを覚えている。

 

overwhelmed man
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