SONG-38【芝居をやめて、音楽の道に進もう】スクランブル交差点

SONG-38main-visual-Scramble-crossing 渋谷のスクランブル交差点の画像。 タイトル 「SONG-38 スクランブル交差点」 テキストメッセージ 「それぞれの道へ」
Destiny- 天からの「強制的 軌道修正」

この話、何度もするけれど。

ボクたちは「神様のすごろく」ゲームをしている。

サイコロを振って、出た目の数だけ進む。進んだ先に書いてある指示に従った行動をする。それが人生だ。

ところが、ボクはしばしば「出た目の数だけ進まなかったり」「出た目以上に進んだり」「進んだ先の指示に抗(あらが)ったり」

つまりルールにはずれた行動をとった。

今振り返れば、だけど。神様は何度か「強制的に」そんなボクの進路に修正をかけている。お前の行くのは、そっちの道じゃない。と、絶望という鉄槌を振り下ろし目を覚まさせた。

その時には苦しくてもがくんだけど、今になってみれば 迷子にならないように導いてくれてるのかな、と思う。

A man led to a good future

虹を見つめ山に登る男の画像。

やり方がね、ちょっとワイルド過ぎて「死ぬほどのたうち回る」から、もう少しソフトなやり方で導いていただければ 助かるんだけど・・・

あなたも、大変な状況に立たされた時は、「神様のすごろく」と違った方向に行きかけて、天からの「強制的な軌道修正」をされてないかと考えてみるべきだ。

その人に合った「幸せになれる道」に導くために、天はボクたちに 愛の鉄槌 を下し、軌道修正するのかもしれない。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィール を見てね

Scramble-crossing-1

渋谷のスクランブル交差点を上から撮影した写真。
目次

SONG-38 スクランブル交差点(第三章 最終話)

渋谷の喫茶店に呼び出しを受けた。

マネージャーの倉本と、彼の店のオーナー。それに倉本のお兄さんかなんかが座って、ボクを睨んでる。

「なんで うちの弟が借金を背負わなきゃならないんだ」

事情を説明して。

「倉本さん、話してないの?」

「いや。話したんだけど・・・」

「お前らのせいで、倉本は今後5年間、ウチの店で住み込みで働かなきゃならなくなったんだ。休みなしだぞ」

オーナーがすごんでみせた。

「・・・・・」

Two men staring at each other with their arms crossed

「お前はどうして借金をかぶらない?」

兄キが 妙なことを言い出したので、

「えっ? オレかぶりますよ。最初に借金した金の他にも、また増えた分」

倉本は借金を分ける話はしてなかったみたいだね。厳しそうな兄キだったし、あまり喋らないうちに バッと押さえ込まれて、黙らされちゃったんじゃないかな?

彼はそういう押しの弱い所があるからね。

さんざ嫌なこと言われて やっと開放され、倉本と2人で逃げるように喫茶店を出てきたんだ。

Scramble-crossing2 渋谷のスクランブル交差点ツタヤ前の画像。

駅前の、スクランブル交差点あるでしょう? 今 ツタヤ になって、スタバがあるとこ。

あそこで借金のリストを出して、ここと、ここ。ここはオレが払う。分割で。みたいなこと、最終的に打ち合わせて。

でも、あそこで倉本、男気を見せた。

「倉本さん。それじゃあ 倉本さんの方が借金多くなっちゃうよ」

「いいんだ。店のオーナーが、俺の身柄と引き換えに それぐらいまでだったら、貸してくれると思うよ。カズはグループを維持していかなきゃいけない奴だから。仕事しながらでも、続けられる範囲に借金をとどめておけ。折角 ここまで来たんだ。これからが大事だよ」

「でも・・・・」

信号が変わって、人がぐちゃぐちゃに流れ出す。ぶつかって、流れに巻き込まれそうになる。

Scramble-crossing3

交差点を渡る人の群れの足元を映した画像。

「倉本さん、タコ部屋に入っちゃうのか?」

それには答えず、血の気の引いた顔でかすかに笑った。

再び信号が青になって。

「じゃ、しばらくは連絡出来ないと思うけど・・・」

「倉本さん、オレ・・・」

何か言葉をかけたいんだけど、見つからない。

「そのうち、またいいことがあるさ。じゃ 俺行くから。カズ、元気で。またな」

って別れた。別の方向に歩いていったんだ。

振り返ると、せつない背中が遠ざかって 人ごみに消えていった。

The back of a man disappearing into the crowd

「オレのせいだ・・・全てはオレの引き起こしたこと。」

倉本は ボクの甘い計画に引きづられただけの犠牲者じゃないか!

負け犬のように街を歩きながら ボクは自らを罵った。

でも。そんなことをしている場合ではない。

倉本の事は心配だけど、ボクはボクで 自分にのしかかった借金の心配をしなければいけない。

「ローラー・スター」の時に入ってきた女の子と付き合いだして、すぐ同棲した。

恥をしのんで言えば、女に食わしてもらいながら ボクは給料のほとんどを借金返済に当てたんだ。

わずかな金でグループを続け、なんとか希望をつないでいた。

でもメンバーは大勢いてもザキはいない。抜けがらのようなボク。

情熱はかなりそぎ落とされていた。

a person who has lost hope

グループは公演のたびに活動し、終わったら解散するようなフレキシブルな形態に変わっていったんだ。もう メンバーに入れ込むのは恐い。

結局、芝居って金がかかるんだ。大ごとだもん。

セットや照明、音響。それにメンバー維持だってたいへんだよ。

公演3日前に逃げ出す役者だっているんだぜ。

宗教とか、マルチ講にはまるメンバーもいた。

「まず金を作ることが大事ですよ」

とか言っちゃって。そいつに勧誘された。ボク、そういうの大嫌いだからね。母親が昔からやってて、いかがわしさも知ってる。

「儲かるわけないじゃん。そんなんで」

って相手にしなかった。それでも儲かった奴はベンツ買って、大邸宅に住んで、とかほざくからさ。

A man who talks about suspicious profits
A man who talks about suspicious profits

「じゃあ、儲かったら また来いよ。何年たってもかまわない。お前がそれで儲けて、金持ちになったら連絡して。お祝いしてやる」

それっきり。そんなもんさ。うまい話なんてある訳がない。

人生はサバイバルゲームだ。最初に抱いた希望を粗末にしちゃいけないんだよ。

目標を見失って、目先のウマい話にばかり振り回される人生には、何も残らない。

でも、あの当時の芝居仲間には、そのテの人間が多かったね。

Suspicious guys

なんでかなあ。人間としてくだらない奴でも通用する世界? 芝居がうまくなくても、演劇論ばっかり振りかざして、女優気取りしてる奴とか。単なる女目当ての男とか。

長野から出てきた役者は、女のメンバーを、水商売のヤバいところに売り飛ばしてた。そんなこと知らないから

「カズさん、俺、金持ちなんすよ」

と言ってブランドものの長財布見せられて驚いた。一万円札がびっしりで、パンパンに膨らんだ財布。

「生き方っすよ、この世は」

嬉しそうにソイツは笑った。

女の子をスカウトしてお水の世界に入れる職業があるらしいね。

半分騙すようなことして、メンバーの女の子をそっちの世界に送り込んでる、って随分後になって知って怒りに震えたもんね。オレのグループでそんなことしてやがったのか、って。1発殴ってやりたかったけど。

その時には、その男はどっかに消えてた。

a man who preys on women

まぁ、騙す方も悪いけど、騙される女もバカだなと思った。ここら辺は詳しくは話さない。穢(けが)らわしいから。とにかく、当時のメンバー。そんなのばっかだなと思った。

公演の出来より、打ち上げを目的にステージをやる役者たちの姿に虚しさが募ってきた。

口先番長ばかりだ・・

その思いは、忘れかけていたバンドへの情熱を呼び起こす きっかけにもなっていったんだ。

「バンドなら、口先番長は通用しない。ベース、ギター、ドラム、ボーカル。1人1人が各パートの責任を完全に果たさなければ、サウンドは成立しない。ヘタな奴が 音楽論だけで誤魔化すことも出来ない。音を出せば一目瞭然なんだから・・潔いいじゃないか」

―――バンドをやろう。

そう思っていたら、「ぴあ」に今ごろ スリムが募集を出していた。

fun band activities

「遅いんだよ」とも思ったけど、バンドマンになる前に。

「最後に 入りたかったスリムをのぞいてみよう」

と思って、入団した。

ほとんど予想通り。演出もトレーニングも、ボクのやり方と酷似していた。

ボクが予想しながら「スリムっぽく」作り上げたカリキュラムは、正解だったんだ。

ただ、スリムに もう あの頃の輝きと勢いはなかったね。メインの役者はほとんど抜けて、たまに集まってくるって感じだし。

演出家は自分をちやほやしてくれる役者だけに囲まれて、昔の余力でスリムを維持してるって雰囲気だった。稽古の演出も人に任せ、時々フラリとやってきては 公演のチケット代を徴収し、女と居酒屋へ消えるという姿をさらしていた。

時は流れ、人もグループも こうやって変わっていくんだな。芝居への未練が急速に冷めていく。1本 スリムの新人公演をやって、ボクはスリムをやめた。

そう。芝居をやめたんだ。

A man walking on the railroad tracks and moving away

肉だんごの女子高生、彼女は高校を中退したらしい。例のスカウトマンに口説かれて、そっちの世界へ入った。歌舞伎町のいかがわしい店で見たって話をいろんな奴から聞いた。

ウソつきな女だったけど、自分にもウソをつき通して生きていくつもりだろうか?

ザキは大学院を出て、養護学校の先生になった。

養護学校で子供たちに芝居を教えて、演出したりしている。教師生活を楽しみながらも。

ザキ。

あいつの時間は、あの時で止まったままだ。まだ あの頃の夢から醒めずにいる。

A man who can't wake up from a dream

この時の倉本とザキとの出来事が色々混じり合って、「ザキ」っていう詩を書いたんだ。あの当時の、いろんなこと、いろんな人が混じり合って作った詩だけど、ザキのことっていうよりも、あの当時のあれこれを瓶詰めにして封じ込めたかったんだ。

その後、ボクが作ったバンドがメジャーブレイクしかけるんだけど、その曲「ザキ」を当時のバンドで曲にしてよく歌ってた。当時のドラマーが曲を作って、ギタリストの「マコト・クレイジー」がすごくカッコいいアレンジをつけてくれた。ファンにも人気があった曲だけど・・

もう 歌うことはないな。

Zakki

作詞:ロックンロール kaz /作曲:トミノスケ /アレンジ:Macot Crazy

日曜の渋谷の街 人があふれて 

スクランブル交差点に 立ちつくす オレ

あの頃も同じように この道に立ってた

アイツと二人きりで 流れてゆく人を見ていた

Oh, Zakki Zakki

二人誓った夢が飛んだよ

この人の流れのように オレを残して

Oh, Zakki Zakki

二人誓った時は流れて

アイツは仕事に就いた オレの嫌いな Teacher


雨の日の中目黒は 川があふれて

スタジオの前のダムが 音を立てている

こんな風にギター抱えて 歌ってたアイツ

ライブハウスしがみついて オレは生きている

Oh, Zakki Zakki

二人誓った夢が飛んだよ

この人の流れのように オレを残して

Oh, Zakki Zakki

二人肩よせ缶ビール 飲んだ

あの頃の酔いが醒めない 汗にまみれたコンバース

<Guitar Solo…..>

Oh, Zakki Zakki

二人誓った夢が飛んだよ

この人の流れのように オレを残して

Oh, Zakki Zakki

二人誓った時は流れて

アイツは仕事に就いた オレの嫌いな Teacher

Oh, Zakki Zakki Zakki Zakki Zakki Zakki

 

             

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