SONG-39【大事なものを失った時、さらに大事なものが手に入る】芝居から音楽へ

SONG-39main-visual-From-theater-to-music 右側にギターを弾く少年のシルエット。上からモンスターの黒い手が伸び、襞襟側に、そのモンスターに怯えて叫ぶ少女の画像。 芝居と音楽の対比のイメージ。 タイトル 「SONG-39 芝居から音楽へ」
トレードオフ思考 とは  

何かを得るためには、何かを失う

ということ。

これがわかっていないと「悲しみや悔しさばかりに心が囚われ、せっかくの大事な出会いに気づかず拒絶してしまう」

チャンスを失ってしまう。

これは怖いことだ。怖いことだけど、うまくいっていない人の特徴は「不幸ばかりに目を向け、それと引き換えに入ってくる重要な出会いを軽く見て、蹴飛ばして遠くに追いやってしまう」

Rejection

覚えていて欲しい。重要なことだから もう一度言う。

トレードオフ思考

幸運が起こるには ある一定の条件がある。

大事なものを失う ということ。あれもこれもは手に入らない。「何かを得ようと思ったら、何かを失う」のである。大事なものが欲しければ、大事なものを差し出さなければいけない。

大事なものを失う、差し出すとは

不幸が起こることばかりではない。

子供の頃、みんなが遊んでいる時に「我慢して練習して」音楽家になったり、とかもそうだ。

手に入れるために差し出す。「友達と楽しく遊ぶ時間を差しだして練習する。」「彼女とデートしたいのを我慢して勉強し、希望大学に合格した」

これを、トレードオフ思考 という。

「得る」ために差し出す。手に入れるためには「大事なものを差し出す」あるいは、意図せず 大事な人を「失ってしまった」ということが必要なのである。

In order to get what you want, you must first give it away.

「自分の欲しいものは手に入れたい。でも、自分は何も差し出さない」

これは 詐欺師の考え方 である。それで手に入っても、後から大事なものを奪われるか「手に入れたものを全て失う+それ以上のものも取られる」ハメになる。

だから賢い人は「先に差し出す」後から取られて不幸にならないために。

Good luck comes after hard efforts

この理論がわかっていれば、悲しいことが起こっても「これだけのものを差し出したのだから、きっとそれに見合う、それ以上の良いことが起こる」と、両手を広げてチャンスを待ち構える癖がつくようになる。そういう人にしか チャンスはモノにできない。あっという間に幸運は通り過ぎるからね。

実は今回の物語、前回のストーリーで重要なメンバーを失い「新しいものが入ってくる準備ができていた」

しかし トレードオフ思考 について知らなかったボクは孤独感ばかりに苛(さいな)まれていた。これからやってくる素晴らしいチャンスも予測できず。だから、

ボクも危うく やってきた「良い出会い」を拒絶しかけた。一見、めんどくさい、もう自分には関係ない事案だと思ったからだ。チャンスは「チャンスの顔をしてはやってこない」

作業服を着た、地味な出立ちでやってきたりする。これは重要なことだ。

その様子を、今回のストーリーから感じ取って欲しい。


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィール を見てね

believe and move on

子供が旅行カバンにまたがって空を飛んでいる、

光り輝く空で、未来を指差し希望に満ちて笑っている画像。
目次

SONG-39 芝居から音楽へ

ミスター スリムをやめて、すぐバンド作りをはじめた。

広島の実家に帰っちゃった「トミノスケ」ってドラマーを呼び戻してね。「トミノスケ」っていっても本名じゃないよ。ボクがつけたの。若山だから。トミノスケ。

「どうして?」

「若山トミノスケって役者、いるだろ?」

「・・・・? それを言うなら、”若山富三郎”じゃないの?」

って言われたんだけど・・

「そうか。でも、とりあえず トミノスケな」

ってことで、トミノスケになったんだ 彼は。

Kabuki actor の画像三枚。

そいつ、オーソドックスだけど 結構うまかったからね。

あと劇団のバックバンドをやってた連中も加えて、再びスタジオに入った。

劇団員はもういない。いるのは、ボクというヴォーカリストだけだ。

ボクは異常体質なのかもしれないけど、スタジオの中で音の洪水を浴びると鳥肌が立ってインスピレーションが溢れてくる。今もそうだけど、当時は麻薬でもやってるようにエンドルフィンが噴出した。

曲のアイディアが どんどん湧いてくる。もっとも、この当時 作曲はできないからミュージシャンにイメージを伝え、もどかしい作曲をしてもらっていた。コードの雰囲気を探り、カッコいいリフを、どこかの曲を例に

「ああいう感じの曲に、できないかな?」

なんて やってた。この時点では音楽知らない、でもイメージはパンパンに膨らんでる。歌詞もどんどん出来てる。つまり「やりたいことは山ほどあって」「それを実現させる音楽的な知識と技術がない」という状態だった。

それでも、この時のボクには技術力があるバンドがあった。だから、MUSE(音楽の女神)が舞い降りて一瞬にして何曲もの作品が完成した。

ヘッドフォンをして目を閉じ、音楽に浸る黒人少女の画像。 彼女の周りに音符が満ち溢れている。

「この世界はオレに合ってる」

単なる勘違いだったかも知れないけど、「オレって天才じゃん」というジョークが確信に変わるほどナチュラル・ハイな状態がつづいていた。

今思うとね「表現したいものがある」ってことが一番大事。技術は後からついてくる。いろんなミュージシャンとやってみて「やりたいことがわかっている」やつは強い。魅力的だ。

反対に「上手くても 何やったらいいかわからない」プレイヤーの演奏は「なんでも出来るけどつまらない。伝わってこない」のよ。

活動をはじめて。

楽しくなる筈が・・すぐ飽きちゃった。

「なんか違うなぁ。オレのやりたいのは、こういうことじゃない」

A child who is tired of playing musical instruments

皆うまいよ。譜面みて、一発OK。スタジオミュージシャンみたい。

でも、ボクはそういうことじゃなくて、もっとバンドバンドしたものがやりたかったの。
強烈な個性を持った「あの日サンフランシスコで見たようなバンド」を作りたい。

「ブルース ロック」みたいなサウンドに刺激を受けた。でも音楽的知識が足りなかったから、

「ストーンズみたいな ヘタうまなバンドがやりたい」

って皆に言っても理解してもらえなくてさ。結局当時はやり流行のフュージョンみたいなサウンドに落ち着いちゃうんだ。軽いんだよ、美しすぎるんだ!!

あと 動き、ね。

長年 言い続けてたんだけど、ポツポツ動くバンドが出始めてきたんだよ。

「見ろ。やっぱり オレの言った通りになった。音楽はエンターテイメントに変わりつつある。皆、もっと動こうよ」

ってハッパかけるんだけど、地味な人たちだし・・・。

ホント、どこまで行ってもバックバンドだな これじゃあ。って頭を抱えちゃったんだ。

People don't understand even if I talk to them
People don’t understand even if I talk to them

そんなある日――

ボクの劇団のステージをよく見に来てくれてた、言ってみれば”ファン”みたいな女の子から電話がかかってきた。

「仲間を集めて芝居をやるんだけど、”演出”を手伝ってもらえませんか?」

ってね。一瞬、言葉につまっちゃったんだ。色んなことが思い出されてさ。

グループを維持するために、いい加減さや我がままに振り回され、人の面倒ばかり見ていた。

「これからは 人のためじゃなく、自分のために積み上げるんだ」

そう心に誓ったからね。ボクはバンドマンだ。

もう あの頃には戻りたくない。断ろうと思ったんだけど、心の奥に呼び止められた。

「でも まぁ、金も一切出さなくていいって言うし、手伝うだけなら」

・・・まぁ いいかって。

練習に行った。

代々木のオリンピックセンター。

メンバーは女の子ばかり 10人近くいたのかな。

All-girl theater group

例の、肉体を酷使する練習方法で 軽くしごいてみた。

案の定、何人かやめるって話で。次の練習から6・7人に減ったの。

いいんだよ。そういう「遊び」で来てる奴らはやめちゃっても。

そんな奴らとは関わりたくない。人の劇団だったからね、気楽。やりたいようにやるんだ。

「どうせ みんな根性なくて、やめちゃうんだろ?」

ぐらいな気持ちさ。ステージに立つって、そんな甘いもんじゃないから。客の視線って冷たいもの。シビアに見てる。ちゃんと練習で汗流してる奴だけが、その視線に耐えられるんだよ。

ところが 残ったメンバーは、予想に反して一生懸命ついてくるんだ。

「へー」って感心した。素直なの。

何も持たない奴らの最大の武器は、「素直」ってことだよ。

何かを身につけようと思ったら、絶対素直じゃないと駄目だ。言われたことを、いちいちひねくれて取ってたら、先へは進まないよ。素直な奴だけが残ってく。

Women's group sprinting

コイツらは、有名な劇団の研究生だった。

やっぱ そういう所のオーディションに受かる奴は違うねって思う。こういうメンバーが最初からいれば、ボクも苦労せずに済んだんだ。

素直で一生懸命な奴らだからね、やりがいがある。ボクもだんだん本気になってきた。

熱が入ってきたの。

ボクには 痛い思いをして手に入れた、貴重な体験があったからさ。そう、教えることはいっぱいあった。

本で読んだような、机上の空論じゃない。ボクのは全部、実体験によるものだから。

pragmatism

侍が刀を抜いて、暗闇の煙の中に立つ画像。

テキストメッセージ
「実戦主義」

そういう「リアリティ」を彼女たちも感じとってくれたんじゃない?信頼してついてきた。

「よし。基本的なトレーニングも終わったし、そろそろ芝居を作ろうか」

って。

とは言っても、メンバーが少なくなっちゃったからね。少し補充しようって。ボクはスリムの知り合いとか、今井雅之なんかを呼んできた。今井雅之・・・フフ。あいつ肉体派だったなぁ。この間まで自衛隊にいて、戦車転がしてたとか言ってさ。

ローラースターが終わって、あいつを主役にした芝居をやったんだ。声はでかいけど、滑舌が悪くて、しゃべりがはっきりしなかった。

地方出身だから、独特のイントネーションだったしね。このしゃべりは役者向きじゃないんじゃないか、というのが最初の印象だったね。

tank

ところがあいつ、その後 有名人になった。「ウィンズ オブ ゴッド」って戦争の芝居の脚本を書いて、演出 主演と。ブロードウェイの方に持ってったりして、ニュースでも取り上げられてた。映画にもなったでしょう? レンタルビデオ店に置いてあったよ。

表参道の裏道にある、カフェでバイトしてたんだ アイツ。

メンバーと打ち合わせで、そのカフェに入ったの。今井がバイトしてること知らずにね。

そうしたら、お会計の時 その店のスタッフが

「今日は、タダです」

って言うの。びっくりしたら

「僕、今井さんの芝居を見に、そちらの劇団の公演に行ったことがあるんです。で、店に来られたので、今日はバイト休みの今井さんに電話したら、俺の奢りにしといて、って言われたから」

だって。そういうことすんのね、アイツ。

その後、アイツと会わないうちに今井はどんどん有名になって成功し、ついでに若くしてガンになってこの世を去って行った。

ボクは、その頃 無名のままだったから 当時付き合っていた彼女に何度も

「今井さんのとこ行って、なんか仕事のきっかけもらって」

と言われたけど、「死んでもいやだ。そんなこと言うならお前と別れる」と言って突っぱねたんだ。その後、ラッキー池田と今井雅之がテレビに出てきて楽しそうに話してるの見て、複雑な気分になった。

今はただ、冥福を祈る。

Rainbow

あ、ごめん。なんだかあの頃のこと思い出して脱線したね。話を元に戻そう。

「芝居の公演」を打つにはメンバーが少なくなっちゃったから。少し補充しようって。ボクはスリムの知り合いとか、今井雅之なんかを呼んできた。

連中は連中で、昔の劇団仲間に声をかけて誘ったんだ。

皆、それなりに雰囲気を持った奴らが集まって。池袋の芝居小屋で3日間の公演をした。

フレッシュだったよ。スゴく新鮮な感じ。

芝居はヘタだったけど、何か すごく「ピュア」でいいんだ。魅力があった。ダイアモンドの原石を見つけた気分で「こいつら磨けば面白くなる」と直感した。

その頃、バンドは トミノスケと彼の友達のヒカルっていうギタリストとオレと。

3人で細々とスタジオに入っていた。

劇団バンドは もうやめちゃって。

「このバンドもつまんねぇな」

と思いながら、トミノスケの作ったオリジナルとかを練習してたんだけど・・・

boring practice

バンドの連中は、そこそこのテクニックはある。でも、つまんない。魅力がないんだ。

一方、劇団の女の子達は、個性的で前向きで楽しいんだけど、残念ながら技術がない。音楽も知らない。

技術と魅力。両方が揃わなければ、ボクの夢の実現はない。

「矛盾」と「葛藤」を抱え、ボクは2つのグループを行ったり来たりしていた。

Success comes when charm and technology come together
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