1980 年代に起こったバンドブーム
それは、当時の「原宿歩行者天国 バンド・ブーム」がルーツになっている。
そこから、全国に「ストリート・バンドブーム」が巻き起こり、その後の「ゆず」などの誕生にも繋がっている。
80年代のバンドブーム は「原宿歩行者天国 バンド・ブーム」が火付け役となった、と言っても過言ではない。
その「原宿歩行者天国 バンド・ブーム」
今では。縦ノリビジュアル・バンドの発祥の地のように言われているが、実は ボクが作った「ロックンロール・ジーニアス」というバンドが始めた路上ライブがブームのルーツだ。
知る人ぞ知る「ロックンロール・ジーニアス」は、ブレイクしかけて「ある時代の波に飲み込まれ」今では忘れられたバンドになった。
しかし、あの時、あの時代に何が起こったかーー
これから「当時の資料」と併せて語っていきたい。夢を見て、走っているすべての人の参考になるストーリーだと思う。ファンの作り方、オーディションで勝ち抜く方法、音楽プロデューサーとの出会い、栄光から転落しないためには何が必要か、など。
音楽の道以外のことにも共通するノウハウが詰まった「夢を掴む方法のパッケージ」がこれからの展開である。
具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。
ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜
ボクについては プロフィール を見てね
SONG-41 ロックンロール・ジーニアス誕生!
大手の電気屋でアルバイトをしてたの。その頃のボク。
その電気屋の忘年会だか何だかがあった時の話。
「バンドやってるんだって?」
同じバイトの仲間が話しかけてきた。
「俺もやってるんだ。ギター」
「フーン」
そいつ、変な髪形してる奴だなと思って。「変な顔」と思って興味なかった。だから話しかけられても適当に返事をしたんだ。
「今、俺 バンドが無くって。ちょっと遊びに行っていいかなぁ?」
そいつ、なおも話を続けてくる。
「え? うーん、いいよ別に」
冷たくあしらった。そしたらね、ハシの袋に自分の名前と電話番号を書いて、
「マコト。小川マコトっていうんだ。何かあったら電話して」
って、その袋をボクに渡した。
ボクの連絡先も教えてくれって。ボクのもハシの袋に書かせたんだ。そいつ。
で、そのまま。ボク酔ってたから、貰ったハシの袋 どこかに失くしちゃって。
別に興味なかったし。すっかり忘れてた。
そしたら向こうから かかってきたの。
「もしもし。同じバイトの、マコトだけど」
って。
「ああ・・・」
どうしたの? って感じ。
「ちょっとセッションでもして、遊ばない?」
じゃあ、って。
ボクのバンドの曲をやる話になった。スタジオの練習テープを持って、女のメンバーたちを連れて。新宿のホームに行ったんだ。
「音、悪いよ」
無茶苦茶な演奏が入っているテープを渡して。マコトは すぐ又、電車に乗って帰ってった。バンドマンなんて みんな貧乏で、カフェでお茶する余裕もないヤツが多いからね。
それを見ていたメンバーが、
「あの人・・変な頭ですね、カズさん」
「だろ? カッコ悪い奴だよ。まぁ、1回遊んでやりゃあ 気も済むだろ」
マコトがスタジオに来たのは、それから数日後だった。
最初 入ってきた時、
「うわっ」
って皆が驚いたんだ。
「どうしたの・・・・その髪の毛」
髪の毛が長いの。長髪。長髪のロッカーって雰囲気。
ハハハってマコトが笑って、
「アレはカツラなんだよ。長髪じゃバイト出来ないからね」
「カツラって・・・・普通、毛の無い人が付けるもんでしょう? ブワハハ。逆カツラだ」
トモコって、ひょうきんなメンバーが 大笑いしながら叫んだ。
「そうかあ。変な髪してる奴だと思ってたんだよ。正直、ダッセェーって思ってたんだ」
「うん。よく言われる。他のバンドのオーディション行った時も、ズラ でデモテープ貰って、スタジオには長髪で行って驚かすの。ハハハ」
そういう「ドッキリ」かますのが好きな男だった。
ギター。フライングVなんか持っちゃって。しかも水玉の。
ランディ・ローズってギタリストが好きだって言ってたね。今日は、そのギタリストの命日だから このギター持って来たって。
マーシャルをセットして。
「ギャイーン」
音がでかい。
セッションして。気に入ったよ。ブっとくて、シンのある音がする。コシがあるっていうか。
もう1人のヒカルってギターはうまいんだけど、リズムを引っ張るタイプじゃ無い。きれいな装飾音で曲を色付けするタイプのギターだ。ジョーペリーとブラッド・ウィットフォード。そんな感じ。
2人は全く違うタイプのギタリストだったけど、マコトが加わることで ヒカルのギターも輝き出した。
マコト と ヒカルのギター。
音が会話するっていうか。「いい音って、こういう音なんだな」って2人のギターを聞いて思ったよ。バンドの音に深みと厚みが増したんだ。地味だったバンドが 見た目だけじゃなく、突然 サウンドも一気に ボクの好きな ロックに変貌した。
そう、マコト はロックを連れてやってきたんだ。
だから合格。
マコトがギターに入って。ツインギター。
と思ったら
「待った!」
がかかったの。まだパートが無い連中。
「あたしたちも、何かやりたい」
「コーラスは?」
「嫌です!」
イヤ、ってなんだよ。
で、1人はギター。1人はパーカッション。もう1人はサックスって割り振りになった。
強引に入り込む隙間を作ってやったんだ。
ギターの奴は、7万円ぐらいするピンクのギターを買ってきて。熱心に練習を始めた。
男のメンバーがサックス。セルマーってメーカーの、いいサックスを買ってきたよ。
アレ何十万もするんだ。
メンバー構成。
ギタリストはそのピンクギターが加わって3人。トリプルギター!!
それからベースとキーボード。ドラム、パーカッション、サックスとボーカルが ボク。
もうアマチュアの極致ってやつだよ。やりたい奴らが集まって、やりたいようにやる。劇団とバンド。2つのグループがくっついて、人数も2倍。
総勢9人の「やりたい放題バンドの誕生」だ。
表現力のある「音楽素人」と 技術はあるけど「地味めのミュージシャン」
2つの個性が出会い、ビッグ・バン!
その結果が 大人数構成。ビッグバンド のようでありながら、演奏するのはスイング・ジャズ じゃない。ロックだ。
「大丈夫。ドゥービーブラザーズだって七人 バンドだよ。ロックだし、タイコも2人いるし」
マコトがフォローして言った。
情熱とテクニック。両方を持ったメンバーは居なくて、結局 お互いが足りない部分を補い合う形で合体したんだ。
これが その後、「伝説のバンド」になるとはね。当時の 知る人ぞ知る存在に化けるとは・・・ この時には まだ 誰も気づいちゃいない。
ボクが皆に宣言した。
「バンド名は、ロックンロール ジーニアスにする」
あの鬱屈の子供時代。バカだ、カスだ、クソだという扱いを受けて
「冗談じゃない。オレは才能があるんだ。大人はなんでわかってくれない。学校は、なんでくだらないレッテル貼りをするんだ!」
と、悔しさの塊だった。不当な評価を受けて、でも、自分だけが自分の価値を諦めなかった。ビクビクしながらも心の奥で、信じていた。「オレは凄い人間なんだ」とーー
英語の辞書に書いてあった GENIUS
高校の時、意味を調べて 気に入ったんだ。
ジーニアス。
“天才”か。オレもいつか天才と呼ばれるようなグループを作りたい。会社の名前か、作品かわからないけど、いつか。
自分が納得できる状況が来たら、この名前を使って勝負するんだ。自分が天才だということを証明してやる。
そういう誇りを持った名前だったの。
そう。「ジーニアス」
それは この時、ボクの新しいバンドの名前になったんだ。
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