SONG-71【知り合いの歌が、ラジオから流れてきた】 ラジオ

SONG-71-main-visual-be-on-the-radio タイトル 「SONG-71 ラジオ」 ラジオパーソナリティがマイクに向かって喋っている。その放送を 車を停め聴いているトラック・ドライバーの画像。
突然、TVやラジオ、雑誌に知り合いが出てたら

びっくりするよね?

何にも知らされてなくて、突然出てきたら

いろんな意味で「おおっ」となる。

ボクの場合には、「このタイミングでそういうことが起こるの?」という感じだった。

すると やっぱり「神様っているのかな?」と思ったりする。

だって、あの出来事がなけりゃ 音楽を続けていなかったかもしれない。

見えざる大きな力に 引き戻された

何度 考えても、そういう気がする。あの時は、大きな力が ボクを軌道修正 したんだ。

続きは本編で ⇩


具体的なストーリーで考えるヒントをつかもう。

ドキュメンタル STORY で人生をリセット!
〜机上の空論じゃ現状を変えられない。実例からヒントを得よう〜

ボクについては プロフィールを見てね

My friend appeared on a radio show as a guest
目次

SONG-71 ラジオ

世界中が敵になったような気がした。

イベントで ひどい扱いを受けて。

どこへ行っても客が減り続けて。昔ほどウケなくなったし。世間から必要とされない寂しさ。悔しくて体が震える。


「チッ。そんなに世の中がいらないって言うんなら、やめてやるぜ」


やがて・・・・・
全ての音楽活動を中止した。


      ★


ボク。涙って嫌いなの。


最近、男でもすぐ泣くでしょう?
ああいうの キライだ。すぐ流す涙は、みにくい。
安っぽいし、汚ないよ。


涙って、我慢して 我慢して、最後にぽろっと一つぶ。それも嬉しい時の涙。
そういうの、カッコいいと思いません?

flood of tears


でもね。白状しちゃうと、ボク。この時期 随分涙もろくなってたんだ。
人には見せないけど、バイト中に――――


トラック走らせてて、ラジオから曲が流れてくると。その曲が流行ってた頃のこと思い出しちゃっ
てね。不思議なことに、音楽に結びついてることばかり蘇ってくる。


「ああ、あの頃 色んなオーディション受けて、特別賞しか取れなかったんだよなー」


とか。


「そういえば この曲が流行ってた時、オレたちのライヴ すごいウケてた」


思い出してるうちに「アレッ?」


気がつくと顔が濡れてる。涙が出てることに気がついてないんだ。


心理学的に分析してみると、「自分は本当はこうしたい」と思っているのに、理性でそれを押さ
え込んだ結果、アンバランスな精神状態 つまり「情緒不安定」になってしまっていると。

neurosis


実際、少しノイローゼ気味だったと思うよ。


「オレは もう音楽はやめるんだ」


そう言いきかせていた。
これほどやって駄目なんだ。運にも見離されっ放しじゃないか。あきらめろ、ってね。


でも、心がそれを許さないの。
やめようと思ってもやめれないんだ。
他の楽しい事をやってみても、まるでハッピーになれない。失恋したような心のもやもやに、いつ
まで もつきまとわれた。気がつくと、また音楽のこと 考えてる。


曲がひらめいて、忘れないように家まで走って帰って、ギターを弾こうとして ハッと我に返る。


「もうやめたんだ・・・」

I don't need it anymore


そうだ、もう必要ないんだ。曲が浮かんでも、あわてることはない。忘れればいい。簡単なこと
なんだ けど。


「・・・・・・・」


音楽活動をやめた分、わずかながら借金が減っていく。


「そうさ。こうやって金を返済していけば、もう苦労しなくてすむ。余裕が出たら いい車
買って、きれい な部屋に引っ越そう」


夢を見れば、なんでもかなう訳じゃない。
やりたいことと やれること。その見極めは難しい所だ。
ボクは音楽の無い生活へと入りこんだ。

captive


昼休み。有明の倉庫街ーー


トラックを海辺の倉庫の脇に止めて、ごろりと横になって休憩していた。
つけっぱなしのラジオから、にぎやかな笑い声が聞こえてくる。お笑いの連中がやっている番組
だ。ラジオのコメンテーターが陽気に曲を紹介した。

「さあ、では一曲聞いて貰いましょう」


「あっ!」


ボクは突然飛び上がった。

フーちゃんだ。フーちゃんの曲がかかっている。

Good-Singer


ロックンロール ・ジーニアスの2人目のドラマーが新しく作ったバンドで、ヴォーカルをやって
いたフーちゃん。彼は、その後ソロになり 東芝EMIから デビューした。

トラックを運転し 荷物を配送する途中。神保町で彼の姿を見かけて。

「よう、どこ行くの?」

窓を開けて声をかけると、

「今、新しく契約した事務所に行く途中なんだ」

と言う。ソロ・デビューの話が進行してるんだって。

「へぇー、いいね」

ボクが笑うと、世間話を交えながらいろいろ説明してくれて。

「私をスキーに連れてって」っていうヒットした映画があったでしょ?
あれをプロデュースした「ホイチョイ・プロダクション」っていうところが関わって、彼のデビューを準備してるらしい。

take me skiing

その後、何ヶ月か経って、


原宿に移ったルイードで、フーちゃんのデビュー記念ライブがあった。呼ばれて、ボクも行ったんだけど。


ビートルズのジョン・レノンが射殺された時のことを歌った曲でデビューしたんだ。フーちゃん。

けど、ビートルズのことはあまり知らない、って言ってたね、彼。


ナンジャ、そら? と思ったけど、とにかく彼はその曲でデビューに漕ぎ着けた。


そのフーちゃんが なんの前触れもなく 今、ラジオの中からご登場! だよ。 どーする?


まったく、ギャグじゃないっての。出来の悪い TVドラマだぜ、これじゃあ・・


ふー・・・

でも本当の話さ。「事実は小説より奇なり」ってね。

the song playing on the radio


ラジオから突然流れて来たフーちゃんの声は、ドラマチックなほど ボクを挑発してくる。かすれ
た、しゃがれ声でさ。まるでボクに こう語りかけているように聴こえた。


「やめちゃうのかい? くすぶり続けるのかよ。オレはもうラジオの向こうで歌ってるんだぜ」

音楽を通じて、ボクにメッセージを送っているように。神様が、ボクに語りかけているように。その歌声は、ボクの心を直接殴りつけてくるように響いた。逃げようとするボクを、心を、激しく揺さぶった。


「・・・・・」


曲が終わった時には、いても立ってもいられず、倉庫脇の埠頭を歩き回り、叫びたくなり、体の奥から溢れてくる想いが涙に変わりそうになったので、慌てて運転席に飛び乗った。エンジンをかけ、トラックを走らせていた。

truck-driver-seat


ドキドキ、ドキドキ心が踊った。

ワクワクが止まらない。ボクの心は、これをずっと求めていた。

求めていた?

・・・そうさ。


トラックを走らせながら、自分の気持ちを確かめるようにつぶやいた。


「もう一度!」


「もう一度、一からやろう。やっとわかったよ。音楽以外にオレの生きる道はない。馬鹿にさ
れても、メンバー探しに苦労しても、オレはこの世界以外では生きられないんだ。そうだとした
ら、認められるまで 何度でもやるしかないじゃないか」


強い決意がわき上がってきた。

Winding road
Winding road


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